ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ー原宿・アクティヴスリープー

ホストA「いや、君、ごめんね。ちょっと色々と大きな勘違いがあって……」

独「あ、いえ……驚きはしましたけど怪我はしなかったですから。」

ホストA「さういってもらえると助かるよ。……シャツは弁償するから」

独「はは……。」

胸ぐらを掴まれつり上げられた結果、シャツの襟首はべろんべろんに伸びきってしまっていた。それにしてもとんでもない力だった。本当に拳が当たらなくて良かった。

麒麟児「……」

独「あの、本当にいいですからもう土下座はやめてください」

麒麟児「すまない。」

ホストA「麒麟児、ほら、飲み物でも持ってきてあげてよ。」

麒麟児「了解」

独「あ、別に…」

ホストA「いやいや、このくらいはさせてくれ。ホストだからって礼儀知らずとか思われたくないし」

独「はぁ……じゃあ、遠慮なく」

麒麟児「お待たせしました。ドンペリです」

独「……」

ホストA「……麒麟児くん、彼、未成年だし、なんでボトルだけを持ってくるのかな?」

麒麟児「……ピンドン方がよかったですか?」

ホストA「ん~……そうじゃなくて。まずは未成年、アルコールダメ、次にコップとか氷ね、ボトルの直飲みさせる気?」

麒麟児「なるほど……了解」

独「面白い人ですね」

ホストA「すっごくいい子なんだけどな。どうしても彼、頭が……その……悪いや、弱くてね」

独「あの人もホストなんですよね?」

ホストA「元ね。今は裏方やってるよ」

独「元?」

ホストA「いや、本当は現役でホストなんだけどね。すっごく人気あるし……でも、本人が仕事の邪魔をしたくないから裏方をやると聞かなくてね」

麒麟児「コップと氷持ってきました。」

ホストA「……飲みものは?」

麒麟児「……あ、すぐ持ってきます」

ホストA「あー、ちょっと、ちょっと、コップと氷は置いてって!」

麒麟児「あ、はい」

ホストA「はぁ……。」

独「……」

ホストA「はは、バタバタしてるだろ?」

独「いや、親近感がわきます」

ホストA「親近感?」

独「いや、俺も抜けてるってよくいわれるんで……。」

ホストA「へー」

独「まぁでも一緒にしちゃ失礼か」

ホストA「いや、彼の場合……抜けてるっていうか天然ていうか疲れるっていうか…」

麒麟児「水持ってきました」

ホストA「コップに直接注いできたってことは水道水?」

麒麟児「はい」

ホストA「せめてミネラルウォーター……っっていうか、そうしたらこの持ってきたコップと氷の意味無いし!」

麒麟児「ああ……。」

独「いや、いいっすよこれで。氷は放りこめばいいですし」

麒麟児「たびたび申し訳ない」

独「だから、土下座はやめてくださいって!1」

麒麟児「わかった。」

独「……確かに疲れるかも」
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