ー新伝ー伝説を継ぐもの
ー池袋・エスペラント店内ー
結城クリストファー凍夜
Style:空手
VS
上野誠和会構成員伊藤
Style:???
「おらぁ!」
伊藤は空の酒瓶をひっ掴み力任せに振り下ろし凍夜に襲いかかる。さっき、もうひとりのチンピラを殴った意趣返しのつもりだろうか。
凍夜は右手を引きこぶしではなく水平に開いた。右足を半歩前に擂(す)り、半身分間合いを積めながら、凶器を握る伊藤の手首を平手で打つ。
遠心力のままに振り下ろしていた右腕は手刀の威力に真横に弾かれた。手から離れた空き瓶が壁に当ってガシャンと音が鳴る。
凍夜はがら空きの腹部に前蹴りを放った。
「いくぞぉ!」
「ぐぶっ!?」
突き刺さる爪先の一撃。伊原は耐えきれる訳もなく後ろに飛んだ。テーブルにぶつかり酒瓶や皿などが床に散乱した。
「ぐっぬっぅ…」
凍夜は起き上がろうとする伊原の襟首を掴んで引っ張り立たせながら真背面に投げ飛ばした。受け身をとれる訳もなく(そもそも出来ないように投げているので)伊原は背中から床に叩きつけられた。
「かっ…はっ…やっろ…!?」
床に叩きつけられ肺がつぶれ息も出来ないほどの痛みヨタヨタと四つん這いになる伊原の目の前に迫るは革靴の爪先。起き上がる間は与えぬとばかりに容赦ない凍夜の追い討ちに、はな血を撒き散らしながら床を転げた。
凍夜は息も切らさずにいた。這いつくばった伊原の頭もとにしゃがんで挑発する。
「なんだ、もう終わりかい?」
「この野郎っ…」
さすがに頭きたのか伊原はすぐに起き上がり体当たりをぶちかました。
凍夜は咄嗟に脇を絞め息を止めてそれを受け止めた。ダメージは無い…っが、伊原は組付くように両手で凍夜を抱きしめて真上に吊り上げた。
火事場の馬鹿力か伊原は凍夜を抱き上げたまま壁に向かって走り始める。凍夜も予想外の行動にバタバタと暴れるしかできなかった。
「死…ねぇやぁ!!」
「おぉ!?」
伊原は壁にぶつかる寸前に足をびたりととめて、抱えていた凍夜を投げつけた。空を舞う一瞬、その状況に凍夜は勝機を感じた。身体を、下半身をひねり迫る壁を両足で蹴りつけた。そして反転し、自分を投げた伊原に向かって垂直反転飛び蹴りで伊原に襲撃した。
顔を潰されながら伊原は本日四度目の床に倒れた。
低くうめき声をあげてもう立ち上がる様子はない。
「うぅ……っ…あぁ……」
凍夜は床に落ちているオシボリを拾って自分の手を拭いた。その後ろで城戸の声がする。
「あ、兄貴…」
「……」
凍夜が振り替えるとダークスーツに黒のシャツ。深い青色のネクタイを絞めた三十代前後半の男がゆっくりと歩いて倒れている二人の構成員に近づいていく。
結城クリストファー凍夜
Style:空手
VS
上野誠和会構成員伊藤
Style:???
「おらぁ!」
伊藤は空の酒瓶をひっ掴み力任せに振り下ろし凍夜に襲いかかる。さっき、もうひとりのチンピラを殴った意趣返しのつもりだろうか。
凍夜は右手を引きこぶしではなく水平に開いた。右足を半歩前に擂(す)り、半身分間合いを積めながら、凶器を握る伊藤の手首を平手で打つ。
遠心力のままに振り下ろしていた右腕は手刀の威力に真横に弾かれた。手から離れた空き瓶が壁に当ってガシャンと音が鳴る。
凍夜はがら空きの腹部に前蹴りを放った。
「いくぞぉ!」
「ぐぶっ!?」
突き刺さる爪先の一撃。伊原は耐えきれる訳もなく後ろに飛んだ。テーブルにぶつかり酒瓶や皿などが床に散乱した。
「ぐっぬっぅ…」
凍夜は起き上がろうとする伊原の襟首を掴んで引っ張り立たせながら真背面に投げ飛ばした。受け身をとれる訳もなく(そもそも出来ないように投げているので)伊原は背中から床に叩きつけられた。
「かっ…はっ…やっろ…!?」
床に叩きつけられ肺がつぶれ息も出来ないほどの痛みヨタヨタと四つん這いになる伊原の目の前に迫るは革靴の爪先。起き上がる間は与えぬとばかりに容赦ない凍夜の追い討ちに、はな血を撒き散らしながら床を転げた。
凍夜は息も切らさずにいた。這いつくばった伊原の頭もとにしゃがんで挑発する。
「なんだ、もう終わりかい?」
「この野郎っ…」
さすがに頭きたのか伊原はすぐに起き上がり体当たりをぶちかました。
凍夜は咄嗟に脇を絞め息を止めてそれを受け止めた。ダメージは無い…っが、伊原は組付くように両手で凍夜を抱きしめて真上に吊り上げた。
火事場の馬鹿力か伊原は凍夜を抱き上げたまま壁に向かって走り始める。凍夜も予想外の行動にバタバタと暴れるしかできなかった。
「死…ねぇやぁ!!」
「おぉ!?」
伊原は壁にぶつかる寸前に足をびたりととめて、抱えていた凍夜を投げつけた。空を舞う一瞬、その状況に凍夜は勝機を感じた。身体を、下半身をひねり迫る壁を両足で蹴りつけた。そして反転し、自分を投げた伊原に向かって垂直反転飛び蹴りで伊原に襲撃した。
顔を潰されながら伊原は本日四度目の床に倒れた。
低くうめき声をあげてもう立ち上がる様子はない。
「うぅ……っ…あぁ……」
凍夜は床に落ちているオシボリを拾って自分の手を拭いた。その後ろで城戸の声がする。
「あ、兄貴…」
「……」
凍夜が振り替えるとダークスーツに黒のシャツ。深い青色のネクタイを絞めた三十代前後半の男がゆっくりと歩いて倒れている二人の構成員に近づいていく。