ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ー池袋:魔天楼ー

コンコン……

凍夜「ん~……」

コンコン……

「おーい、凍夜。」

凍夜「あ~はいはい……今開けますよ……。っと、あれ……窈じゃなくて」

悠「おれでした」

凍夜「悠さんじゃないの、どしたの?」

悠「いや、近くまで来たからどんな場所なのかと思って寄ってみたんだ。最初全然場所わからんかったわ。池袋もまだまだ裏道があるな……」

凍夜「あはは、もともとここは分かりにくい場所ですからね。まぁ、どうぞなにも有りませんけど」

悠「どうも。っても、おれ客じゃないよ」

凍夜「えぇ、うちも今日は休みですから。」

悠「って、ことは此処住んでるのか?」

凍夜「このフロアは丸々店ですよ。この下で寝泊まりはしてるんですけど……ここで寝ちゃうんですよね。」

悠「ふーん。」

凍夜「それにしても……似てますねぇ。やっぱり」

悠「窈と?」

凍夜「えぇ。シルエットとか声とか」

悠「声は似てないんじゃないか?あっちの方がはっきり男って感じだろ。アカシックバスター的な」

凍夜「はい?」

悠「いや、こっちの話しだ。」

凍夜「あ、お茶でいいですか?」

悠「あー……ども、お構いなく」

凍夜「ほんとなら、いつも秘書の子がいてやってくれるんで……えーと、茶葉はどこかな」

悠「ひとりでやってるんじゃないんだ」

凍夜「えぇ。俺は審査とその後の集金とか
がメインでしてね。帳簿とか連絡とか細かいことは任せてるんですよ。いつかはここの支部長として頑張ってもらおうかとも考えてます」

悠「支部長って、他にも店持ってるのか?」

凍夜「まだ全然ですけどね。大阪の方にも出そうかなーなんて考えてます」

悠「へぇ……凄いな」

凍夜「あはは、嬉しいですね。悠さんにそういわれると……おかしいな。茶葉が見つからない」

悠「……おれが探そうか?」

凍夜「はは、どうもスイマセン。」

悠「いいんだけどさ、なんでアンタずっと敬語なの?」

凍夜「半分は癖ですね。あと一応、感謝もこめてます」

悠「いや、感謝はいいよ。別に意識してやった訳じゃないし、根本を辿れば崇の金だし。」

凍夜「まぁいいじゃないですか。」

悠「はぁ……。お茶どうぞ」

凍夜「どうも……あれ、いい香りだ。高級な茶葉なんてありました?」

悠「開いてるのを使ったけど……どうだろ。」

凍夜「じゃあ入れ方かな。上手なんですね。」

悠「少しだけな……っか、アンタ凄いな」

凍夜「はい?」

悠「いや、こんだけ話しとぎらせない人、初めてだ。」

凍夜「話し好きってよくいわれますよ。」

悠「だろうな。」

凍夜「そういえば窈とは、あれから会ってます?」

悠「毎日な……。」

凍夜「毎日?」

悠「うちの隣に引っ越してきたんだよ」

凍夜「あらら、そうなんだ。引っ越したのは聞いてたけど悠さんの隣なのは初聞きですよ」

悠「おれもビックリしたよ」

凍夜「じゃあ、今度集金のとき俺もお邪魔させてもらおうかな」

悠「別にいいけど……。」
27/100ページ
スキ