ー新伝ー伝説を継ぐもの

ー池袋:金村金融ビルー

凍夜「それはねぇ、つまりこの金村興業が低く見られてるってことだよ」

チンピラA「あぁ?」

凍夜「きっと上野の連中は金村興業のシマの店なら飲んで暴れても大丈夫って思ってんだろうなぁ。いくら金村興業が風月会の下の柴田組…そのさらに下の三次団体とはいえ、それはちょっとナメられ過ぎだぁ~。」

城戸「……」

チンピラA「ちょっとアンタ…ウチのこと馬鹿にしてんのか?」

凍夜「……」

チンピラA「……」

凍夜「ふっ…やっと本気になったか。悪かったねっ!城戸ちゃん。調子に乗っていっぱいしゃべっちゃって」

城戸「あ、いえ…………」

チンピラA「……」

凍夜「それでいいんだよ。極道は。」

チンピラA「ぇ?」

凍夜「極道は代紋のデカさだけがすべてじゃない。てめぇんとこの代紋バカにされて頭に来ないようなヤツは信用できない。なぁ?そうだよな?城戸ちゃん」

城戸「えぇ…まぁ…」

凍夜「じゃ、ここはまあひとつ。池袋の平和のために頑張って。アンタらが頑張ってくれないと俺も儲からないしな。な、兄さん♪」

チンピラA「は、はい…」

凍夜「よし、じゃあ帰るか。それじゃ……あーそうだ城戸ちゃん」

城戸「はい」

凍夜「金村さんにいっといてよ。自分とこの組、馬鹿にされても怒らなくなっちまったら、極道は終わりだって。」

城戸「……」

凍夜「そんなヤクザ紛いのヤツにはもう上納金を立て替えるためのお金なんて貸してあげませんよ~~。金借りるときに約束した「条件」守ってくださいね。って…」

城戸「……」

凍夜「それじゃ」

バタン…

城戸「はぁ…」

ガチャ…

金村「……」

チンピラA「親父……!?いらっしゃったんですか?」

金村「ああいたよ」

チンピラA「あのいつから…?」

金村「結城のガキ帰ったか」

城戸「えぇ…」

金村「しかし、困ったもんだ。さっきお前がいってた上野のヤツらの件、どうしたもんか…」

城戸「とりあえず、新垣の兄貴にすぐ連絡とります」

金村「でも、確か新垣は柴田の親父と出掛けてんじゃなかったのか?」

城戸「連絡取れるまで電話をかけ続けます」

金村「そうか」

城戸「もし上野の連中が暴れたりしたらどうしましょう?」

金村「そうだな……」

城戸「あまり粗っぽいことになるのは避けた方がいいと思いますが」

金村「あぁ…」

城戸「新垣の兄貴なら丸く収めてくれるとは思うんですが」

金村「そうだな。とにかく事を荒立てたくない。新垣に任せるといっといてくれ」

城戸「わかりました……。」

チンピラA「あ、あの…」

城戸「うん?」

チンピラA「さっきの結城って人何もんなんすか?」

城戸「ああ、あれか…結城クリストファー凍夜、年齢不明、池袋で摩天楼って店やってる金貸しだ。池袋の駆け込み寺っていわれててな、ちょっとした都市伝説みたいな男だ。まぁ、なんにしても、ああいう不気味なヤツには関わらん方が身のためだってことだ」
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