ー新伝ー伝説を継ぐもの【2】

ー魔天楼ー

白嶺「どうも」

凍夜「はいどうも。」

白嶺「あれ、社長ひとりですか?」

凍夜「うん、お客は来てないよ」

白嶺「そうじゃなくて、ほら、あの人」

凍夜「ああ、彼なら武者修行だよ」

白嶺「はい?」

凍夜「技術(わざ)は憶えたから次は実戦で鍛えてくるって出ていっちゃったよ。夜中には戻るんじゃないかな」

白嶺「なにしてるんだか……。」

凍夜「ま、彼も彼なりに必死なんでしょうよ。けど、凄いよ彼一流の物真似師って感じ。」

白嶺「モノマネ?」

凍夜「才能のひとつなのか、彼の記憶力ってとんでも無いものみたいでさ。そこにあるUSBの映像全部記憶してったよ。そこに映ってた人の動きを全部ね」

白嶺「ふーん」

凍夜「あれ、あんまり驚いてないね」

白嶺「格闘技や喧嘩のことはよく分かりませんけど、ただ見て憶えただけの技術が役に立つんですか?同じ動きができるからって誰もが完全な物を手に入れれるとは思えないんですけど。」

凍夜「確かに、いくらバッティングのモーションを松井やイチローと同じようにできても、プロ野球選手になれる訳じゃない。」

白嶺「はい。そういうことです。それであの人が強くなれるという事とには繋がらないと思うんですが?」

凍夜「猿真似程度ならね。彼の場合は猿真似じゃなく物真似、しかも完全な物真似だ。」

白嶺「どういうことです?」

凍夜「うーん、口で説明するのは難しいんだけど……とにかく割りと彼、できる子だよって事かな。」

白嶺「よく分かりませんけど、本物の小鳥遊センパイあんな感じなんですかね。」

凍夜「あれ、もしかしてタイプだったり?」

白嶺「私の友達に小鳥遊センパイ命みたいな娘が居るって話ししましたよね」

凍夜「なんか、お嫁さんになる宣言とか素でしちゃうアクティヴ個性的な娘だったけ?」

白嶺「そうです。そんなにべた惚れするから本当はどんなのか見てみたいなと思っただけです」

凍夜「なるほどね…。」





ー西新宿ー

悠(?)「うぉりゃー!」

ドゴッッ!!
怖い顔の男「ぐはっ……はぁはぁ…」

悠(?)「終わりだ。」

怖い顔の男「はぁはぁ……参ったぜ。はぁ…。」

悠(?)「じゃあ、お前より強い奴の名前と居場所を教えてもらおうか」

怖い顔の男「……」

悠(?)「なんだ、まだやられたりないのか」

怖い顔の男「アンタ……何いってんだよ」

悠(?)「あー?」

怖い顔の男「アンタ、小鳥遊悠なんだろ?」

悠(?)「……そうだ」

怖い顔の男「なら、知ってるだろ。西新宿に強い奴なんかそうそう居ない。」

悠(?)「なに?どういうことだ?」

怖い顔の男「どう言う事って……」

悠(?)「説明しろよ。えっと……名前なんだった?」

熊彦「林地熊彦(りんちくまひこ)だよ!」

悠(?)「やんのかっ!!」

熊彦「今負けたとこだろ……」

悠(?)「あぁ、好戦的な面してるから」

熊彦「うっせーな。わかってるっーの!こっちだって散々顔が怖いだの言われて誤解されて来てんだから……」

悠(?)「そいつは……悪かったな。それで、さっきのはどういう意味だよ」

熊彦「ここら辺はエリアレベルは低いって話しだよ。池袋にはS西の・ウルフと東の氷室薫の二強勢力が、豊島、中野や杉島区までを支配しつつある。そして、アンタが小鳥遊悠が秋葉原を起点に浅草や上野を支配権に置いてる。新宿は双権力内の中立地でありつつ王っていうヤバいヤクザの組があるから本来はアンタチャブル区だ。なにしろ新宿にも闘路はあるけど王が強制制覇してるらしいしからな、最近はほら東京湾に大江戸学園って学園島ができてヤクザに関わりが無いほとんどの腕利きはそっちに流れつつある、右京山寅、凶獣っていわれる男は最近そっちを縄張りにしてるらしい。」

悠(?)「そ、そんな幅広いのか闘路って……」

熊彦「は?」

悠(?)「どうして西新宿は弱い?」

熊彦「はぁ、どの方面からも相手にされず新宿の陰に隠れていて、しかも逆に手を出そうなんてのはおのぼりさんかよっぽどの馬鹿。その中で極々小規模な腕自慢が小規模な闘路をやってるって感じだよ。」

悠(?)「マジか……じゃあ、もし強い奴を探すとしたら?」

熊彦「そりゃ……池袋西口、池袋東口、新宿A(王支配圏)、新宿B(大江戸学園)、秋葉原のどれかか……」

悠(?)「か?」

熊彦「渋谷方面だな」
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