ー新伝ー伝説を継ぐもの

ー池袋:金村金融ビルー

凍夜「今日は集金日なんでねぇ。回収がてら金村さんに挨拶していこうと思ったんだけどな。どうやら……チラ」

奥扉

城戸「っ……」

凍夜「留守みたいだね。」

城戸「え……えぇ。今日はちょっと用事があって出掛けてまして」

凍夜「ふーん…新垣さんもお出掛け中?」

城戸「はい、頭は柴田組の組長と出掛けてます。」

凍夜「なるほどねぇ……」

城戸「……」

チンピラA「……」
チンピラB「……」

凍夜「で?さっきの話の続きは?どうして上野誠和会の連中が金村興業のシマで飲んじゃダメかって話だよ。コイツらに説明してやらなくていいの?」

城戸「聞いてたんですか?」

凍夜「あれだけでかい声で喋ってりゃ隣のビルまで聞こえるさ」

城戸「すんません。お恥ずかしい限りで」

凍夜「ヘイ、兄さん」

チンピラA「は、はい」

凍夜「アンタ、新入り?」

チンピラA「はい、三ヶ月くらいになります」

凍夜「ふーん…じゃあ一年くらい前までは池袋界隈でチンケな窃盗とか強盗とかやってたクチ?」

チンピラA「ええまぁ」

凍夜「で、新垣さんあたりに憧れてこの世界に入ったと…」

チンピラA「ん…そうです」

凍夜「そうか。はは、そりゃいい」

城戸「あ、あの結城さん。親父に用件があるようでしたら後でこちらから連絡するようにしますけど」

凍夜「帰れ……って、こと?」

凍夜「そういうわけじゃないんですが親父にもいつ連絡がつくか分かりませんし……こちらも色々ありますんで」

凍夜「色々ね…そっか。そうだよね。分かったよ。……今日、これから大変だぞ」

チンピラA「え?」

凍夜「アンタ等の業界で下の連中が上のシマで飲むなんてことは……あってはなんないことなワケ……分かる?」

チンピラA「?」

凍夜「それは直系団体でも親戚団体でも同じ。例えばキミが今から池袋で一杯やろうと思ったらさぁ。キミの親である金村さんのさらに上の親……つまり柴田組のシマで偉そうに飲もうなんて思うか?」

チンピラA「いや、それは…」

凍夜「そうだろ?そりゃそうだよね。だってそんなことしたら、金村の親分さんに恥かかせることになっちゃうかも知れない。それに後で新垣さんにどれだけ怒られるか分かったもんじゃない。」

チンピラA「コクコク」

凍夜「今回のことも同じだ。アンタんとこのお店に来てるのはあの上野誠和会。池袋不可侵っつう、風月会との約束破って…代紋ぶら下げたまま池袋に来てること自体おかしい話だぁ。つまりそれがどういうことか分かる?」

城戸「ちょっと、結城さん…」

チンピラA「どういうことなんすか?」
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