ー日常ー街の住人達【10】

ー常春の国エメラダ:ミハイル山麓ー

機材や人材などは既にすでに準備済みだったので、あとは現地に到着したスワンソン博士にすべて任せた。

スワンソン博士「ここからは手作業で進めてください。化石を傷つけたくない。」

「「へーい!」」

指示の通りの場所を掘ってそろそろ出るはずだとスワンソン博士が手作業に移らせて少しすると……。

作業員ムーン「あった!殿下ありましたーー!」

丁寧に出てきた化石を運び出すと、人間サイズの猿、頭には輪、手には棒を持ったまさに孫悟空の化石だった。

ミハイル「すばらしい!」

スワンソン博士「いやー!本当に素晴らしい!完璧な化石です!」

ミハイル「スワンソン先生、実はここからちょっと南にいったところにコロンブスの化石という噂も。」

スワンソン博士「なんと、南に移動ーー!」

「「「おーー!」」」

疑うこともなく、作業員を連れてスワンソン博士は走っていった。

チコ「どうするつもりなんですか?」

ミハイル「化石を集めて化石秘宝館を作るんだ。あるはずのない化石が見られる秘宝館はきっと大人気になる。エメラダの目玉になるぞ。」

チコ「そういう計画ですか……。」

ミハイル「エメラダ銀座辺りに土地を手当てして秘宝館の建物の建設を始めろ。」

チコ「えっ、もう?」

マリア「わかりました。」

そしてミハイルはひとつ掘り終わるたびにグリフォンの化石、白雪姫の化石、最後の一葉の化石、パイライフの化石、ろくろっ首の化石、饅頭怖いの化石など、どんどんとありもしないというか物体でもない化石をスワンソン博士に伝えだした。

そして本当に出てくるのである。

ミハイル「ワッハッハッ、よーしもっと集めるぞーー!!」

スワンソン博士「ゼェゼェ」

ミハイル「先生、休んでもらっちゃ困りますよ。」

スワンソン博士「ちょっ、ちょっと働き過ぎです。少し休ませてください。」

ミハイル「ふむ」

ヨロヨロと移動しようとした博士の足にガチャンと何かがつけられた。

スワンソン博士「え?」

ミハイル「そうはいかんのです。働け!働くんだーー!」

足には重り、そしてミハイルが鞭を振るってひと昔の囚人の様に扱い始める。

スワンソン博士「ひえぇぇっ!」

っと、叫びをあげるとスワンソン博士はぶっ倒れてしまった。

ミハイル「えっ?まだ当ててないのに倒れたぞ?マザーコンピューターいったいどうなったんだ?」

MC【働キスギタタメニ超能力ガ枯渇シタノデショウ】

ミハイル「なんじゃとて!すると、これ以上新しい化石は手に入らないわけか、しかしまぁ、今ある分だけでも……。」

ムーン1「殿下ーたいへんです!化石が全部土塊に!」

ミハイル「なにぃ!?」

MC【形状ヲ保ッテイタ超能力ガ消エタノデスカラ、モトノ堆積物ニモドルノハ当然デス。】

ミハイル「どうしてこうなるんだー!」

チコ「殿下どうするんです!エメラダ銀座の土地の所有者にも建設会社にも多額の手付金を払ったんですよ!」

ミハイル「契約を取り消せー!」

チコ「ダメです!莫大な違約金を取られます!」

ミハイル「結局大損じゃないかー!」

チコ「余計なお金を欲しがるからですよ。」

マリア「フォッシルだけに?」

ムーン1「苦しい」
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