ー日常ー街の住人達

ー学食:窓際テーブル席ー

悠「ここっていいよな。夏は涼しく、冬は暖かい。しかも何か知らんが必ず席が空いてる」

緋斗「え?」

悠「え?」

緋斗「えーと……いうて怒らん?」

悠「……言えよ」

緋斗「悠やんがここ使いだして皆が引いて使わんようになっとるっぽいよ」

悠「……ふーん」

ダバダバ
【カレーライス】

緋斗「俺のカレーがソースの海にぃぃぃ!」

悠「ああ、味付けしてあげたよ」

緋斗「味付けやなくて味が変貌しとるがな!!」

悠「いや、お前が失礼なこと言うから」

緋斗「聞いたんはそっちやん!しかも、怒らんいうたのに!」

悠「怒らないとはいってないだろ。「いえよ」とはいったけど」

緋斗「グスグスひどいわ……」

悠「別に食えなくはないだろ。半分ソース味になっただけだ」

緋斗「半分もソース味がしたらそれはもうソースやん!!」

悠「うるさい子だなぁ……皆見てるだろ」

緋斗「悠やんの鬼の所業にな!!」

悠「あ?」

緋斗「OK、フォークの先をこっちに突き付けるんはやめよう」

悠「……」

緋斗「……」

悠「ちょっと待ってろ」

緋斗「え、あの……」

ツカツカツカツカ…
ツカツカツカツカ…

悠「おら」

ドザッ!ドザザザ!

緋斗「え、えぇ……俺のソースカレーがてんこ盛りのカレーの山に」

悠「ソースが増えたなら……カレーとご飯で補えばいい!」

緋斗「すんません、それはええんですけど……ご飯とカレーの量が通常の三倍になっとるんですけど」

悠「わかってるよ。これだろ?まったく、欲しがりさんめ」

【福神漬け】
どちゃぁぁ…

緋斗「……カレーとご飯と福神漬けの三国ができあがった」

悠「カレーには福神漬けさんだよな。ラッキョは邪道」

緋斗「いや、こんなにも福神漬けは……」

悠「あ?さんをつけろよデコすけ野郎!!」

緋斗「福神漬けに「さん」付けを要求された?!」

悠「まぁ、遠慮せずに食えよ。おれの奢りだ」

緋斗「……はい、いただきます」

悠「しかし、お前も変わってるよな」

緋斗「もぐもぐ、なにがですの?」

悠「いや、こんなことされて怒らないなんて」

緋斗「怒ったって、俺が酷い目あうやん」

悠「そんなことないよ。おれ怖がりだから怒られたらびくびくして泣いちゃうよ」

緋斗「どの口がほざいとん?冗談はその前髪だけにしてや」

悠「知ってるか?目玉って案外頑丈って」

ジャキ!
緋斗「近い近い近い!フォークの先が眼球スレスレ!スレスレーー!」

悠「まったく、センパイを苛めるなよ」

緋斗「ちょっとなに言うとるか分からないです」

悠「あ?」
キキッ

緋斗「あと、その怒るたびに首を九十度ぐらい傾けて垂れ下がる髪の毛の隙間から睨むんやめてください。夢に出てきそうな怖さです」

悠「おかしいな……白巳には大受けなんだけど」

緋斗「どっかおかしいんちゃう?」

悠「一回目だから許すけど……次は顔面殴るから」

緋斗「あの、頼みますんで悠やんのキレるツボを紙に書いて取扱説明書にしていただけませんか?そろそろストレスで胃が破裂しそうなんで」

悠「習うより慣れろだ。ともきなんてちゃんと理解してくれてるぞ」

緋斗「付き合いの時間がちゃいますやん。俺かて時間をかけていけば上手いことトークでけると思うけど」

悠「だから、習うより慣れろだ。間違ってたら殴ってやるから」

緋斗「死にゲーの死んで覚えていけみたいに聞こえるんやけど」

悠「カレー食えよ冷めるぞ」

緋斗「……はい、いただきます。あっ、そや」

悠「なんだ」

緋斗「また是非、ソープ子さんとスリリングショッ子さんの話しをお願いします」

悠「お前も好きだな…」
96/100ページ
スキ