ー日常ー街の住人達【10】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

デカンショ号「うわっ!」

噛まれたことに驚きバッと手を離した。犬も何が自分に起こっていたのかとワンワンと吠えながら逃げていってしまう。

チコ「犬は元に戻ったみたいです!」

ムーン1「デカンショ号は!?」

デカンショ号「あーびっくりした」

ミハイル「大丈夫か異常はないか!」

デカンショ号「別に変わった感じはありません。」

ミハイル「よかった。自我は消えてしまったようだ。」

デカンショ号「医務室で治療してきます。」

ミハイル「僕も徹夜したから疲れた。ひと眠りしてから研究を続けることにする。」

マリア「今度はまともなイモを作ってくださいよ。」

デカンショ号「……」

~~

その日の深夜…

イモ達『『『ブッブッ、ブッブッ』』』

デカンショ号「よし仲間たちも覚醒した」


翌、早朝……

調理係「朝食当番は眠いなぁ。」

マリア「でも、お仕事ですから頑張りましょう。あれっ?」

調理係「どうかした?」

マリア「朝食のシチュー用のジャガイモがなんだか増えてるみたいなんですよ。」

調理係「減ってるなら問題だけど増えてるならいいんじゃない?」

マリア「ですかね。」

ムーンたちの朝食は午前8時、皆食事を取り終えた……。

ミハイル「くがぁーー、くぁふぁーー!」

「いつまで寝ている起きろ」

ミハイル「んがぁーー!」

「起きんかブタマン!!」

ミハイル「えっ?ブタマンを食べる夢をみていたような…。ん?なんだお前たち揃ってなにをしている。」

「われ思う」
「ゆえにわれ在り」

ミハイル「きさまたちイモだな!!そうかデカンショ号の自我は消えてなかったのか芝居だったんだな。」

さすがは天才ミハイル瞬時に状況を把握しました。

「愚かなる人間は他の生物を殺し自身らで殺し合い。」

「あまつさえ環境を破壊し続けることで、地球そのものまで殺そうとしているただ今に」

「われらが生み出されたのはこれまさしく神の配剤」

「これより先、母なる地球は我らがイモ族の支配するところとなり植物主導の静かにして穏やかなる千年紀を迎えることになるのだ。」

ミハイル「……」

「おっと」

ミハイルがわずかに身をよじるといきなり銃を突き付けられた。

「寄生主(ホスト)の知識からお前の行動パターンは分かっている。革命鎮圧プログラムは発動させん。」

ミハイル「チッ」

殿下はいたるところに隠されているスイッチから手を遠ざけた。
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