ー日常ー街の住人達【10】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「ありゃっダイヤはあるぞ!」

オセロ「本物ですか?」

ミハイル「検定機をもってこい!」

特殊な音波で宝石を測定する機械を準備してダイヤを入れてみたところ……。

ムーン1「ああっ波長が違う!」

チコ「殿下、これは人造ダイヤです!」

ミハイル「ななななっ!!」

オセロ「精巧なレプリカを残しておけば金庫を調べても盗まれたとは気づかない。私がいなければあなた方はそれを本物だと思いこみ、予告状はイタズラだったと安堵したことでしょう。皆さんのそんな姿を想像し、してやったりとほくそ笑もうという……紅はこべとはよほどひねくれた人物らしいですね。」

ミハイル「本物はどこに!?」

オセロ氏は窓の外へと視線を向けた。少しして口を開く。

オセロ「おやおやどこまでひねくれた人物だろう。犯人は朝一番の瓶で国外へ逃亡しましたがそのときダイヤは持っていなかった、この近くに隠していったからです。」

そう語りながらゆっくりと歩きだす。ミハイル達はその後を追った。

チコ「けれど、なんでそんなことを?」

オセロ「あなたたちはおそかれはやかれ金庫の中にあるのがレプリカだと気づいたでしょう。そして大騒ぎになったはず。そのとき本当はすぐそばに隠されているのに、それを知らずに右往左往してるにちがいないと想像して楽しむためです。」

ミハイル「ななななんというひねくれたいけずな奴!」

チコ「どの口が言ってるんですか…」

オセロ「もちろんいずれは掘りだしに来るつもりで……あそこです。あの木の下に埋めたのです。」

ミハイル「掘ってみろ!」

確かに木の根元には一度掘り起こしたような形跡があった。そこを中心に慎重にスコップを入れていくと……。

ムーン1「缶がありました!」

ミハイル「中身は!」

ムーン1「ダイヤっ!ダイヤですッ!!」

ミハイル「検定機!!」

再び機会を持ってきて通してみると今度は正常な反応が出た。

チコ「本物です!」

ミハイル「すばらしい透視術だ!オセロ先生感動しました感激しました感服しました!」

地面にガンガンッと頭を打ち付けて礼を述べる殿下だったが、急にひとりのムーンが飛び出してきて叫んだ。

ムーン「ウソだーーー!」

ミハイル「コラッ、こんなときに誰だカードゲームなんかしてこ!」

チコ「UNOじゃなくて、嘘っていったんですよ。」

ミハイル「ああ、そうか。え、何が嘘だ?」
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