ー日常ー街の住人達【10】

ー日本:學校ー

黒い煙の中にひとりの人間の顔が浮かび上がる。ミハイルの顔だ。

メフィスト「ン~?見たことが……あるような、ないような?」

悠「ちょい失礼、おれの知り合いだな」

メフィスト「そうなんデスか?」

悠「いちおう。で、コイツがどうした?」

ベルスス【ええと、この不細工な人間がメフィスト・レス様のお知り合いだと……。】

悠「ああ、そりゃ多分メフィストの知り合いのおれの知り合いって口八丁したんだろうな。」

ベルスス【では、それがしめが好きなようないたしましても?】

メフィスト「ン~?悠さん」

悠「お好きにどうぞ」

それを聞いて悪魔はすぐに消え去った。

ベルスス【公爵様とそのご友人のお許しが出たきさまの魂を食ってやる!!】

ミハイル「悠のアホーーっ!」

部屋の中を逃げ回っていると小さな少女が話しかけてきた。

「なあに?何の騒ぎ?」

ウィルソン「ああ、マリーアン実はマリーアンが……マリーアン!?どこへ行ってたんだ!」

奥さん「よかったー!」

ミハイル「これはいったい!?」

悪魔に誘拐されたはずのマリーアンが不通に帰ってきたのだ。そしていったい何が起こったのか話を聞くことになった。

マリーアン「あたしずっとピエロさんたちを見ていたの。楽しそうだからあたしも遊びに行きたかったけど、でもお外に出ちゃいけないっていわれてたから我慢してたの。そしたらそのうち眠くなってきて、そこで寝てたの。」

少女が指さした先はドアの側……。

ウィルソン「えっ?ということは我々が飛び込んだ時にはドアの影に!」

ミハイル「どうしてそんな不自然なところで寝るんだ!!」

マリーアン「知らない人にそんなこと言われる筋合いはないわ。」

チコ「6歳?」

奥さん「おしゃまな子で…」

マリーアン「名前を呼ばれてるような気がして目を覚ましたらドアが開いていたから」

ウィルソン「われわれが戸棚を探しているときだな」

マリーアン「ああ、お外に出てもいいんだなと思ってピエロさんたちを見にいって終わったから帰ってきたのよ。」

ミハイル「密室誘拐でもなんでもないじゃないか!」

グルメ警視「私にいわれても!」

ミハイル「いや待てメモがある!あれはなんだ!」

マリーアン「メモ?」

ミハイル「絶望をひとつ!」

マリーアン「パパたちを待ってる間お腹が空いたから何か注文しようと思ってメニューを見たら絶望って名前のパスタがあったから、それに決めてドアの下にメモを置いたのそうするとルームサービスの人が見つけてお料理を持ってきてくれるのよ。」

ウィルソン「ルームサービスが見つける前に我々が帰ってきたわけか」

マリア「ああ、絶望ですか」

ミハイル「知っているのか!?」

マリア「家政婦ですからある程度の料理には精通しています。トマトベースのスパゲティーでとにかく野菜を細かく細かく刻まなくちゃならないんです。今はフードプロセッサーがありますが昔はその作業がとても大変で注文が入るとシェフが絶望した、というところからつけられた名前だとか。」

ミハイル「知ってたら最初からはなさんか!」

マリア「手が空いてるから魔導書をもってこいとは言われましたけど、絶望の話なんて聞いてませんよ!」

ミハイル「なんだって!それじゃあ事件でもないのに大騒ぎして!こんなのまで呼び出して!」

ベルスス【そっちの話はおわったか?】

ミハイル「ええまあ」

ベルスス【今度はこっちの話だ】

ミハイル「と、おっしゃいますと」

ベルスス【貴様の魂を食うのだ!!】

ミハイル「やっぱりー!助けて―!」

ベルスス【待てーー!】

チコ「どうします?」

ムーン1「ほっとこう、殿下のことだなんとか逃げ切るだろう。」

マリア「それもそうですね。」

殿下に絶望をひとつ寄越したお話でした。
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