ー日常ー街の住人達【10】

ーリバプール郊外:ジェンキンスの屋敷ー

ミハイル「おい、ちょっと待て家政婦コラ」

チコ「殿下!」

そのとき窓から外を監視していたチコが殿下呼んだ。暗闇の中ひとすじの灯が動いている。

マリア「犯人でしょうか?」

ミハイル「こんな時間に陰気な沼のほとりを歩くのは犯人意外に考えられまい。」

チコ「もしもし警部現れたようです。はい……すぐ来るそうです。」

ミハイル「よし、確保しよう」

~~

「……」

ミハイル「そこまでだ」

四方からライトで何かをしている犯人らしきものを照らした。

犯人「っ!?」

ミハイル「僕は世界名探偵友の会の正会員だ。君がジェンキンス殺しの犯人であることまた君の素性から紐の先になにがあるかまで純粋推理で分かっている。観念しろ逃げ道はない。」

犯人「くっ」

がくりとうなだれる男。

ミハイル「お前たちは引き上げて中の物を確かめろ。」

「「ラジャー」」

屋敷の中に戻って明るい部屋の中で見てみると若そうな妙な色気のある青年だった。

ミハイル「なんとなく30過ぎと想定していたが思ったより若いな。」

青年「あなたこそ……ずいぶんお若いようなのに名探偵なのですか」

ミハイル「自分でいうのもなんだがホームズとポワロを足して3でかけたほど名探偵だ。」

青年「はぁ…」

ローソン警部「殿下!」

ミハイル「ああ、警部」

なぜか警部は犯人をいぶかしそうにチラッと見た後ミハイルに近づいて耳打ちした。

ローソン警部「(つい今しがた尾行させていた部下から連絡がありましてアラン=ロッドは自宅のアパートに帰ったそうです。アレは誰ですか?!)」

ミハイル「えっ?」

さらに戻ってきた二人も殿下に近づいて耳打ちを始める。

チコ「(殿下!紐の先のビニール袋に入っていたのはボールでも刃物でもありません!)」

マリア「(ジェンキンスの頭部と重りの石です!)」

ミハイル「えぇっ?」

青年「それほどの名探偵なら私がジェンキンスの愛人だった事はとっくにお見通しでしょうね。」

「「「……」」」

ミハイル「え~と……」

青年「私は彼を愛していましたでも先日呼び出されて新しい愛人ができたからもう私に用はないと……。ショックでしたフラフラと庭に出たら目の前にマキ割用の剣ナタがあって……気がついたら……私は彼を……」

ローソン警部「鉈はどうした」

青年「沼に捨てました。」

ローソン警部「なぜ頭部を切り落としたんだ。」

青年「冷たい沼の底に沈めておいて後で取に来てそれから自宅の冷凍庫で保存するつもりでした。愛する彼と一緒にいたかったから……ううっ……。」

ローソン警部「まあなんです。とりあえず自白は取れましたから……連行します。」

犯人と警部たちが出ていったあと、残った者たちの視線はミハイルに注がれていた。

ミハイル「僕たちも帰ったほうがいいんじゃないかなーと言うようにー気がしないでもーないようなー。」

チコ「違うじゃありませんか。違うじゃありませんか――!」

マリア「ボウリングも漁師もまるで見当はずれですよ。」

チコ「なんだったんですあの推理は!」

ミハイル「とにかま犯人は捕まったわけだから」

チコ「まぐれでしょーが!」

ミハイル「僕の推理にもとづいて見張っていたから犯人を逮捕できたのだ!だから僕は正しいのだ!」

チコ「そうはいきません!アラン=ロッドちかいう無関係な人間を危うく逮捕するところだったじゃありませんか!」

マリア「そうなったら大変な重罪ですよ。」

ミハイル「やかましい!昔からよく言うだろう!」

「「なんて?」」

ミハイル「終わり良ければ総て良し!!」

ミハイルは推理の天才ですがたまにはこういうこともあります。
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