ー日常ー街の住人達【10】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「まったく誰に向かって口を聞いているんだ……ん?おい、見てみろ!」

チコ「はい?」

差し出された手紙を見るが特に気になる点はない。

ミハイル「よく見ろ!切手の端が欠けている!」

チコ「言われてみれば……けど、それがなにか?」

ミハイル「それがなにか?それがなにかといったか?」

チコ「はい」

ミハイル「それがなにかと言ったかと聞いてるんだ!」

チコ「だからいいましたってば!!」

ミハイル「アホ!こんな重要な情報に対してそれがなにかとはなんだ!いいかこの人物は手紙を出すとき焦っていた!だから切手シートからうまく剥がすことができずに端が欠けたのだ何もないときにあせる人間はいない!ということは何かの事件が起きたのだ!そして人間が最も焦る事件と言えば殺人事件だ!!僕に手紙をよこしたという事は僕の天才的推理能力を必要とする難事件が!それも焦っているところから緊急に解決しなければならない事件が発生したと考えられる!そして当然だが僕の実力を知り助力を求めてきた以上このローソンなる人物は警察か世界名探偵友の会の関係者でないかと……あっ、思い出した。」

チコ「えっ?」

ミハイル「去年友の会の世界大会で会った人物だ。たしか準会員でリバプール警察のローソン警部とか、ああやっぱりローソン警部だ。内容も推理通り難しい事件が起きたから僕の力を借りたいそうだ。」

チコ「最初から読んでれば推理する必要もなかったでしょうが。」

ミハイル「やかましい、リバプールに行くぞ。準備しろ」

マリア「準備は終わりました。」

チコ「わっ、超優秀……。」


~~


殿下によるとリバプールの郊外にある屋敷に来て欲しいという内容だった。山奥と言うほどではないが途中に沼があったりとやや陰気な場所に建った屋敷だった。

ローソン警部「殿下、ご足労をおかけしまして」

ミハイル「ローソン警部お久しぶりです。僕の力を頼りにしてくださり光栄です。挨拶はこれぐらいにしてさっそく事件の説明を」

ローソン警部「はい、殺害されたのはこの屋敷の当主で大地主のウイル=ジェンキンス。ジェンキンスは金融業、早い話が高利貸しをやっとりましてね。」

ミハイル「高利貸しですか容疑者はたくさんいそうですね。」

ローソン警部「ええ、金の問題で奴を恨んでいた人間は多いと思います。死体はおとといの朝か酔いの執事が今で発見しました。鋭利な刃物でめった刺しにされ血の海の中に倒れていたのです。通報を受け、私が駆け付けた時、今の暖炉の灰はまだ熱を持っていましたからおそらく明け方まで客がいたのは間違いないと思います。」
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