ー日常ー街の住人達【10】
ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー
ある日の事…
ミハイル「う~ん」
チコ「殿下どうしました?」
ミハイル「通信販売で低反発枕を買ったんだが、調子がよくないんだ」
マリア「低反発ってすこし前に流行ってましたね。けれど、健康にいいはずじゃないですか?」
ミハイル「ところがどうもスッキリしない」
チコ「これですか?」
低反発枕とやらを手で押してみた。しかし、どうにもおかしな顔をする。
マリア「どうかしましたか?」
チコ「ええと……反発するようなしないような変な感じなの。」
ムーン1「ええっ?」
チコ「どういうことでしょうか…」
ムーン1「殿下、不良品かもしれませんよ。」
ミハイル「返品した方がいいかな」
マリア「これが枕が入っていた箱ですね。ん?殿下、注文するときにちゃんと商品名を見ましたか?」
ミハイル「見たぞ。低反発枕だ。」
マリア「いえ、「低」反発枕じゃありませんよこれ。「仮」反発枕です。」
ミハイル「なんだそれは!返品だーー!」
また別の日……
ムーン1「殿下、秘密警察から電話です。」
ミハイル「えっ?なんだって?」
ムーン1「秘密警察からです」
ミハイル「秘密警察ってどこの?」
ムーン1「さあ」
ミハイル「もしもし?」
『ああ、お世話になっております。大広間の件なのですが』
ミハイル「大広間?秘密警察が大広間とどういう関係が……あっ。おい、違うぞ。秘密警察じゃない、大広間の回収を頼んだ凍津建設じゃないか」
ムーン1「秘密警察(ひみつけいさつ)、凍津建設(しみづけんせつ)……ちょっと似てますね。ハッハッ」
ミハイル「ちょっと待ってろ。電話が終わったら貴様の耳にドリルを通してやる。」
ムーン1「ひぇっ!」
とまあこんな具合に本筋とは何の関係もない小ネタが繰り返されるエメラダの毎日だった。
が、しかし、ここから本題、小ネタにあきたらなくなったか、あるとき一人の客がミハイルを訪ねてきた。
ムーン1「殿下こういう方がいらっしゃってますが。」
ガラスの板に一枚の飾られた紙が挟まっている物を差し出す。
ミハイル「おお、本物の名刺だな。」
チコ「名刺に、本物も偽物もあるんですか?」
ミハイル「お前たちは百枚いくらで印刷するのを名詞だと思っているだろうが、そうじゃない。とくに、ヨーロッパの貴族などは時間と金をかけて、時には有名な芸術家に依頼して一枚かせいぜい二、三枚のりっぱな名刺を作るのだ。元手がかかっているからもちろん使い捨てじゃない。相手が、自分の素性を納得したら、帰してもらって何度も使うのだが考えてみれば、その方が合理的だな、資源の節約になるし、なにより与えるインパクトが強いから、名刺本来の目的にかなっている。」
マリア「なるほど」
ある日の事…
ミハイル「う~ん」
チコ「殿下どうしました?」
ミハイル「通信販売で低反発枕を買ったんだが、調子がよくないんだ」
マリア「低反発ってすこし前に流行ってましたね。けれど、健康にいいはずじゃないですか?」
ミハイル「ところがどうもスッキリしない」
チコ「これですか?」
低反発枕とやらを手で押してみた。しかし、どうにもおかしな顔をする。
マリア「どうかしましたか?」
チコ「ええと……反発するようなしないような変な感じなの。」
ムーン1「ええっ?」
チコ「どういうことでしょうか…」
ムーン1「殿下、不良品かもしれませんよ。」
ミハイル「返品した方がいいかな」
マリア「これが枕が入っていた箱ですね。ん?殿下、注文するときにちゃんと商品名を見ましたか?」
ミハイル「見たぞ。低反発枕だ。」
マリア「いえ、「低」反発枕じゃありませんよこれ。「仮」反発枕です。」
ミハイル「なんだそれは!返品だーー!」
また別の日……
ムーン1「殿下、秘密警察から電話です。」
ミハイル「えっ?なんだって?」
ムーン1「秘密警察からです」
ミハイル「秘密警察ってどこの?」
ムーン1「さあ」
ミハイル「もしもし?」
『ああ、お世話になっております。大広間の件なのですが』
ミハイル「大広間?秘密警察が大広間とどういう関係が……あっ。おい、違うぞ。秘密警察じゃない、大広間の回収を頼んだ凍津建設じゃないか」
ムーン1「秘密警察(ひみつけいさつ)、凍津建設(しみづけんせつ)……ちょっと似てますね。ハッハッ」
ミハイル「ちょっと待ってろ。電話が終わったら貴様の耳にドリルを通してやる。」
ムーン1「ひぇっ!」
とまあこんな具合に本筋とは何の関係もない小ネタが繰り返されるエメラダの毎日だった。
が、しかし、ここから本題、小ネタにあきたらなくなったか、あるとき一人の客がミハイルを訪ねてきた。
ムーン1「殿下こういう方がいらっしゃってますが。」
ガラスの板に一枚の飾られた紙が挟まっている物を差し出す。
ミハイル「おお、本物の名刺だな。」
チコ「名刺に、本物も偽物もあるんですか?」
ミハイル「お前たちは百枚いくらで印刷するのを名詞だと思っているだろうが、そうじゃない。とくに、ヨーロッパの貴族などは時間と金をかけて、時には有名な芸術家に依頼して一枚かせいぜい二、三枚のりっぱな名刺を作るのだ。元手がかかっているからもちろん使い捨てじゃない。相手が、自分の素性を納得したら、帰してもらって何度も使うのだが考えてみれば、その方が合理的だな、資源の節約になるし、なにより与えるインパクトが強いから、名刺本来の目的にかなっている。」
マリア「なるほど」