ー日常ー街の住人達【10】

ーパリ:のみの市ー

その日、ミハイルは商用でパリまで出向いていました。商談もまとまり飛行機の時間まで余裕があったので街を散策していると露店を見つけた。いわゆる蚤の市で色んなものが売りだされている。

ヒマつぶしがてらに見物していると気になるものを見つけた。

ミハイル「あれは?」

「お客様お目が高いあれはアレでございます。」

ミハイル「アレじゃわからん。」

「白雪姫の継母が持ってた正真正銘本物の魔法の鏡です。今ならセール中でお安くしておきますが如何です。」

ミハイル「へーえ」


~~


チコ「商用でパリにいってた殿下が蚤の市で何か買ってきたらしいですよ。」

ムーン1「また無駄遣いを」

チコ「殿下、あれっ殿下?」

呼び出された部屋へと入ると中はうす暗だった。姿は見えないが部屋の中から殿下の声がする。

「よく来た諸君。床の円の位置に立ちたまえ。」

言われるままに円のかかれた場所に立ってみると目の前には豪華な装飾の施された鏡が立てられている。

チコ「鏡がありますね。」

「それは白雪姫の魔法の鏡である。嘘と思うなら世界で誰が一番美しいか聞いてみたまえ。」

ムーン1「無駄遣いの極地だな」

マリア「でも言う事を聞かないとうるさいパターンですよね。」

チコ「はぁ……鏡よ鏡よ鏡さん。せかいで一番きれいなのは誰?」

【それはこの人です】

すると鏡がそう答えてのミハイルの姿が映し出された。

ムーン1「ええっ!?嘘だーー!!」

マリア「……」

おマリがおもむろに側のカーテンをめくってみると殿下が立っていた。

チコ「って何やってるんですか!」

マリア「角度を変えて姿を映してただけですね。」

ムーン1「どこが魔法の鏡です!」

ミハイル「アホ、ぼくだって本物だなんて思っとらんわい。瞬間芸「魔法の鏡ごっこ」だ。」

チコ「どんなごっこですか」

マリア「簡単ですけどよくできた仕掛けですね。ドラマとかのトリックで使われそうな。」

ミハイル「外国から客人が来たときにやる新しい一発芸を探してたんだ。それらしく演じればきっと受けるぞ。」

鏡に向き直って殿下はバチッとウィンクした。すると鏡がわずかに揺れてオオ~~ンっと哭いた気がした。

ミハイル「誰だ屁をこいたのは」

ムーン1「オナラなんかしてません」

チコ「それだけのためにわざわざ買ってきたんですか?」

ミハイル「新ネタのための投資といってもらおう。」
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