ー日常ー街の住人達【10】

ーMIT:教授室ー

教授「しかし、それが本当なら大変なことだぞ。」

トム「世界の軍事バランスに大きな影響を与えます。」

教授「我が国の核戦略も多かれ少なかれ変更を余儀なくされる。それがどういう結果をもたらすかは不明だが……うーむ、トム、明日時間を取ってくれんか。会わせたい人物がいる。」

トム「え?はい。」

そして翌日……。

教授「彼は旧友のブラット=ペットだ。司法省からCIA入りした変わり種だ。」

ブラッド「よろしく。トム君だったね。えらい事実を発見したね。」

トム「たまたまです。」

教授「黄身のエメラダ核ブラフ説には説得力があり、CIA(うち)としても非常に興味を持っている。だが、信憑性イコール確信ではない。気味の節が真実である確証がなければ、われわれも軍事局も動けない、つまり証拠が必要なのだが、それを君に手に入れて欲しいのだ。」

トム「はあ!?でも、そういう調査をすることこそCIAの本領じゃないんですか?」

ブラッド「各国の核戦力を数値として分析するスタッフはいるが残念ながら核兵器そのものの専門家はいない。早い話がエメラダが核ミサイルのダミーでも用意していた場合それを偽物と見抜ける人材はいないのだ。」

教授「君ならそれができると推薦したのだよ。」

ブラッド「学生という身分も格好だ。本物なのだから疑われて調べられてもなんの問題もない。それにエメラダにはスパイ防止法がないから最悪の場合でも国外退去で済む。そこまで考えてアマチュアの君に協力を要請しているのだが、どうだろう。」

トム「スパイか、面白そうですね。」

ブラッド「おお、ではよろしく頼むよ。」

というわけでトム君はエメラダに送りこまれたのです。ムーンたちと仲良くなってからそれとなく調査を開始しました。」

トム「そういえばエメラダは核武装してるんですってね。すごいなあ。」

「すごいらしいね」

トム「らしいねって…」

「僕たちは開発にかかわってないんだ。殿下がひとりで組み立てたんだよ。」

トム「(組み立てた?)」

「ミハイル山に隠してあるらしいけど現物は見たことないなぁ。」

「そういえば以前、雨雲を吹き飛ばすのに核ミサイルを使ったことがあったっけ」


~~

その夜、話に聞いた情報をブラッドへと伝えることにした。

トム「ですから、そういうニュースが流れたのはご存知でしょう。エメラダが核実験を行ったって……ええ、一時問題になりましたからね。でも、すぐ語法だと分かった放射能が検出されなかったからです。エメラダ政府が核を使用したと発表したためみんな騙されたんです。ええ、当然国王の仕業でしょう。つかわれたのは極めて大型の通常爆弾でしょうね。面白いのは国王直属の部下たちが、いまだにあれを本物の核だったと思いこんでるというか、信じ込まされていることです。国王のブラフは身内に対しても徹底してるんですよ。真相を知ってるのはどうやら国王一人だけのようです。はい、とにかく調査を続行します。」

どうやって国王の口を割らせるか……という事があって、そこに今回のパイライフ事件が起きたわけです。
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