ー日常ー街の住人達【10】

ーエメラダ銀座:事件現場ー

ムーン2「警官が残したメッセージの他にはなにもない。気丈な警官が気を失う直前にこれを書いてくれなければ犯人を特定できず迷宮入りの事件になっていたところだ。」

チコ『犯人って』

ムーン2「パイライフに決まっているじゃないか」

ムーン1『決まっているはいいが捕まえられるのか?』

ムーン2「……パイライフなんてサンタクロースと同じように空想上の存在だとばかり思ってたからな」

マリア「サンタクロースを逮捕するようなものですか。」

ムーン2「いや、違うぞ。パイライフは現実に現れたんだ。確かに存在してるんだから逮捕だってできんことはあるまい。」

ムーン3「罪状は?」

ムーン2「えっ?」

マリア「ああ、警官は殴り倒されたわけじゃないんですよね。パイライフというのを見ただけで恐怖で人事不省に陥ったってことですから、いったいなんの罪で逮捕状をとればいいのかってことですね。」

ムーン2「公序良俗に反するとか」

ムーン3「物凄い怖い顔のおじさんがいてもそれで刑務所にぶちこむわけにはいかないだろう。」

マリア「それとは話のレベルが違うような…」

ムーン2「国籍はどうなんだやっぱり外国人扱いになるのかな」

ムーン3「パイライフに国籍があるのか?」

「「「ええっ!?」」」

マリア「そもそも空想上の生物が刑法になじみますか?」

ムーン2「ちょっと待て、話がややこしくなってきた。逮捕云々は後回しだとにかくパイライフに関する関するデータを集めようすべてはそれからだ。」

「「「ラジャー」」」


病院組と現場組は一度全員宮殿に戻ってパイライフに関する情報を集め始めた。

ムーン1「うーん…」

ムーン2「どうだ?」

ムーン1「図書館でいろいろと探してみたが資料は出てこなかった。そっちは?」

ムーン2「ネットをいくらか検索していくらか見つかった「パイライフ」伝説上の生き物、闇と混沌の申し子にして恐怖の使者、限りなき腐敗の王にして究極的堕落の権化、絶望と虚無の体現者、その姿は魚に似ず獣にも鳥にも似ていないが昆虫にもまた似ていない。災厄が訪れるとき、前触れとして出没するが、これを見たものは石に変ずるいわれる。」

チコ「わかったようなわからないような解説ですね。」

マリア「試しにサンタクロースを検索してみては?」

ムーン2「えーと……うわっ出るわ出るわ。2.3日じゃ処理しきれないくらいのデータ数だ。」

ムーン3「おかしい」

ムーン1「おかしけりゃ笑え」

ムーン3「ハッハッハッ、って殿下みたいなこと言うな!」
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