ー日常ー街の住人達【10】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

マリア「ただひとつだけ分からないんですよね。ミハイル陛下は何でわざわざ日本のアラファト家政婦派遣協会から人を雇ったんでしょうか。自分でいうのもアレですが、うちは家政婦の質がかなり高いので、お値段も割高なんですよね。」

ミハイル「僕のことは殿下でいい。ついてらに雇った理由はカンタンだ。もともとうちで雇っていたハウスキーパーたちはすぐに根を上げてしまったからだ。」

チコ「いわれてみれば最近見てませんでした。」

マリア「どうしてですか?」

ミハイル「この国ではわけのわから無い事件が起きたりするからな、気味悪がってやめるんだ。聞いたところではお前は怪奇を扱った店をゃったいた経歴もあるらしいじゃないか。だから、問題ないだろう。」

マリア「いや、私は別にそういうのが強いとかおはらいができるとかではないんですけどね。」

ミハイル「やたら滅たら起きてるわけでもないからとりあえず今日のところは焼肉のタレに宮殿内を案内してもらって、それから仕事にかかってくれ。」

マリア「わかりました。」

~~

だが、おマリが赴任した、その日の夜いきなり事件は起きた。

ムーン1「パイライフだーーっ!」

「「「えっ?」」」

ムーン1「たった今連絡が入った!エメラダ銀座にパイライフが出現したそうだ!」

「「「なんだってー!」」」

チコ「パイ……」
マリア「ライフ?」

ムーン2「おい、冗談は止せよ。パイライフなんておとぎ話じゃないか」

ムーン3「そうそう、夜ベッドに入りたがらない子供たちに「早く寝ないとパイライフが来ますよ」とおどかすための作り話だ。大の大人が真剣な顔で何を言ってるんだ。」

ムーン1「ちがうんだ、本当なんだ。現にパトロール中の警官がパイライフに出くわして病院に運び込まれたんだ!」

「「「ええっ!?」」」

本当にパイライフが現れたのかはわからないが警官が病院送りになっている事実にムーンたちはエメラダ病院と現場の二手に分かれて話を聞きに行った。

医者「ショック状態が続いています。このまま意識が戻らないと死に至る可能性も…」

ムーン1「原因は?」

医者「外傷はまったく見当たらない。つまり想像を絶する恐怖、それ以外に考えられません。」

「「やはり」」

チコ「そっちの様子はいかがですか?」

現場側に連絡をいれると……。

パトカーが何台か集まり現場保存がされていた。警官が倒れていた場所はペンで書かれた「パイライフ」とメッセージが残っている。
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