ー日常ー街の住人達【10】

ー某所:???ー

マリア「そうですか。結局、私はなんの役にもたてませんでしたね。」

お熊「とんでもないわ!奥さまメークをしたおマリちゃんがとびっきり魅力的だったからこそカチンスキーは色香に迷って手籠めにしようとしたのだし。もし、そうなっていなかったら、あたしたちだって一か八かで飛び込むような真似はしなかった。飛び込んでいなければカチンスキーに自白剤を打つことも彼の身柄を確保することもなく。きっと今もどうやって教団の一千億の資金に近づいたらいいか頭を悩ませていたでしょう。でも、現実は違うわ。無計画で破れかぶれではあったけど、行動を起こしたおかげでカチンスキーを押さえ一千億にも手が届きかけているわ。行動のきっかけはおマリちゃんの魅力よ。それがなければ自体は動かず。手詰まりになっていたのは明白よ。つまり、今回の成功の立役者はおマリちゃんあなたなのよ。」

マリア「はあ…ありがとうございます。そういっていただくと気が楽になります。」

お熊「もっと自信をもっていいのよ。あなたは主役だったんだから。」

それから一週間たち…

お熊「資金の50%を回収したわ。もう一息よ。」

マリア「おー。」

そして更に二週間後……

お熊「回収完了!?よくやったわ!」

マリア「さすがはCIAだなー」

報告の電話を聞き終えるとお熊はドクターに電話を入れた。

お熊「もしもし、ドク。カチンスキーを眠りから覚まして解放してください。」

ドク『いいのかね?』

お熊「いえ、大丈夫です。ワレンスキー牧師の正体についてはすでに世界の主要なメディアにリークしましたから教団は確実に空中分解しますし。一千億の裏資金という牙を抜かれたカチンスキーはたたけば必ずほこりが出ますから、さまざまな罪で警察に追われることになるでしょう。」

ドク『なるほど……年貢の納め時だな。』

お熊「ええ、おっしゃる通り旧KGBの大立て者もついに年貢の納め時です。」

さらに数日後、おマリはいつもの日常に戻っていたが、お熊に呼び出された。

マリア「どうかしましたか?」

お熊「はい、おマリちゃん。」

渡されたのは封筒だった。中を覗いてみると小切手が一枚はいっていた。

マリア「なんです?えっ、小切手?ずいぶんゼロがならんでますね。えーと、一十百千…………95憶円。……きゅうじゅうごおくえんっ!??おおおおおお!」

お熊「落ち着きなさいよ」

マリア「お熊さんここここれこれはいったて!?」

お熊「回収した裏資金はアメリカ本部と日本支部で山分けすることになったの。五百億円を前にしてふだんはしぶチンの支部長がやたら気が大きくなってるのを見て、今回の主役のあなたにボーナスをあげて欲しいと頼んだら」

『かまわんぞー!95億円出してもまだ四百五億円残っとる!ガッハッハッ!』

お熊「というわけ」

マリア「ほんとにもらっちゃっていいんですか!?」

お熊「いいのよ。あなたはそれだけの働きをしたんだから。」

そして……おマリこと夢前マリアはついに100億という借金を全額返済することができたのでした。

マリア「おかげで借金を返済できることができました。」

お熊「いいのよ。そのぐらいの功績だもの。それよりも……おマリちゃん、本当に海外長期派遣の家政婦のお仕事を受けるの?学校とかいってもいいのよ?サポートするし」

マリア「はい。借金もなくなったんで、もう家政婦として働かなくてもいいかなーと思ったんですけど……お給料もいいですし、この仕事を続けていこうと思います。それにエメラダの国王さんのところには私の友達も働いているので。」

お熊「そう。おマリちゃんとコンビが組めてとても楽しかったわ。」

マリア「私もです。本当にお世話になりました。」

お熊「また遊びに来てね。」

マリア「はい、必ず。」

お熊「なにか困ったことが起きたら連絡するのよ。CIAが力になるわ。」

マリア「ありがとうございました。それじゃ、失礼します!」

こうしてマリアは借金を返済し終えましたが、これからも家政婦業を続けていくのでした。
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