ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル山高台ー

爆発物に不備があったとクレームの電話を入れるも、そんなことはありえないと逆に怒鳴られスイッチをもう一度入れてみたところ、きっちりと爆発して拠点の半分を吹き飛ばしてしまったMJはいったん撤退した。

エメラダ市内の外れにあるホテル=マンネリ。エメラダにおけるMJのアジトです。

至近距離で爆発を受けて打ち身になった身体を治療して、コーヒーを飲んでひと息ついた。

えらい目にあった。こんなドジを踏んだのは初めてだ思いながらも落ち着いて考えてみると爆発物(ハッパ)は外では爆発したのに宮殿内では爆発しなかった。

とすると、宮殿の中にはハッパが作動しなくなるような何らかの仕組みが…どんな仕組みか見当もつかないがあるのではないか。

そこから導き出される結論はターゲットは前もって爆殺に対して手を打っていたということである。

例の防弾ガラスといい一筋縄ではいかない相手らしい……。

ギャラが一億というのもうなずける気がしてきた。しかし、自分はプロである。このままでは済まさない。


日も暮れたころ、MJは再び宮殿内に潜りこんだ。ここまでは問題ない。しかし、時間帯が夕食時でターゲットは何故か使いたちと一緒に食堂で食事をしていた。

さすがに人目が多すぎるとしばらく様子を見ることにした。

時間も過ぎて夜九時ごろ、食堂の電話が鳴った。

コック「はい、台所です。」

ミハイル『僕だ』

コック「ああ殿下、なにか?」

ミハイル『寝る前にもう一杯シチューが食べたくなったからもってこい。』

コック「さっき夕食を食べたばかりじゃないですか。それ以上太ってどうするんです?」

ミハイル『余計なお世話だ!とっとともってこい!』

コック「わかりましたよ。」

電話を切ってコックはシチューを温めて準備をする。

MJ「(これはおあつらむけだ。)」

宮殿内の電話を盗聴していたMJはチャンスだと行動に移した。

コックがシチューを運んでいる途中、チャリンっと小銭が落ちるような音が聞こえた。シチューを乗せた配膳台車を止めて、音のしたほうへ行ってみると小銭が落ちていた。

コック「どうしてこんな所に小銭が?」

MJはシチューの中に毒を落として混ぜた。そして宮殿から退散した。

翌日、例の高台から宮殿内の様子を見た。

MJ「そろそろ死体が発見されて騒ぎになるころだ。」

しかしながら宮殿内はいたって普通である。おかしいな動きがないと思っていると、ターゲットのミハイルが普通に歩いているのだ。
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