ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

次の日、MJは大胆にも直接宮殿へと忍び込んだ。

無数に仕掛けられている監視カメラだが、どんなものにも死角はある。それさえ知っていればゴーストにもなれる。

宮殿内は事前に調べた通りムーンと呼ばれる使えたちは同色同種の制服で髪形、メーキャップ等まで統一されていたので一瞬で紛れ込むことに成功した。

ミハイル「さて、今日は何をして遊ぼうか」

チコ「仕事しろ、仕事を!」

目標はあいもかわらず簡単に見つかった。

そしてしばらく監視をする。どんな広い宮殿内であっても人間というのはいくつかの行動パターンや歩くルートが偏る傾向がある。

ターゲットがよくひとりで通る廊下を見定めて人ひとりは確実に殺せる小型の爆弾をセットした。

そして、陰に潜んで待っているとミハイルがやってきた。

MJ「(終わりだ。)」

セットされた爆弾の側を通りすぎる瞬間に遠隔スイッチを押した。

ミハイル「……」

しかし、爆発はしない。

何度もスィッチを連打するもピクリとも反応せずターゲットは通りすぎていってしまう。

なぜだと思いながらセットした爆弾を回収していったん拠点にしている高台まで退却した。

ひと息つく間もなく携帯を取りだしてどこかへ電話を入れた。

MJ「もしもしMJだ。プロフェッサーを頼む」

『もしもし?』

MJ「プロフェッサー、MJだ。あんたの爆発物(ハッパ)にはずいぶんと助けてもらったが今度はいけない」

『なにがいけない?注文通りの小型で性能のいいものを用意したぞ。』

MJ「作動しなかった」

『そんなはずはない』

MJ「そんなはずはないといわれても本当のことだ」

『~~!!!』

そう告げると爆発したような怒りの声が電話から響いた。MJはスマホから耳を話すがそれでは怒鳴り声が響いてくる。

そうとうな歳のはずなのによく息もつかずに怒鳴ってられるものだ。

声が途切れたところで話をつづけた。

MJ「ぜーぜーいってるじゃないかプロフェッサー無理をするな。ポックリいっちまうぞ。えっ、なに?」

『もう一度やってみろ。爆弾を起動してみろといっとるんだ。』

MJ「ああ、そういうことか。なんどやっても同じだ」

起爆スイッチを押してみると閃光が辺りを包んだ。

~~

チコ「あれ、いまミハイル山の方から爆発したみたいな音がしませんでしたか?」

ミハイル「妖怪たちが何かやっているんだろう」

~~

MJ「なんだこれはどうなってるんだーー!」

さっきまでは起爆しなかった爆弾がちゃんと爆発して拠点の半分が吹き飛んだがMJはギリギリ無事だった。
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