ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

この国にひとりの男がやってきた。その男の名はMJ。

といってもマイケル・ジャクソンでもなければマイケルジョーダンでも松潤でもない。

マーダー・ジョーンズ殺人者ジョーンズなのである。

彼はお金で殺しを請け負うヒットマンいわば現代の仕掛け人。

事の起こりは数日前、MJに依頼書が届いたのだ。

MJ「セントトマス商会。元締めからだ次の仕掛けだな。これがターゲットか」

同封されていたターゲットの写真を見てみるとドアップで写った深海軟体生物のような不気味な顔。に一瞬心の臓が止まりかけた。

MJはすぐにパソコンを叩いて商会にクレームを入れた。

『まいど、セントトマス商会です』

MJ「元締め、なんですこの妖怪は!」

『妖怪ではない。おそらく人間だ。データも添えてあったろう。』

MJ「えーと、エメラダ国王ミハイル8世10歳…………子供じゃないか!冗談じゃない子供の仕掛けなんかできるか!」

『MJ、おまえさんの普段のギャラは一千万から二千万』

MJ「それがどうした」

『今度の仕事は一億だ』

MJ「え゛っ!?い、いちおく!!?」

『一殺一億だ。』

MJ「ちょちょちょちょ、ちょっと待ってくれ。元締め、誰がそんな大金を出そうといってるんだ。」

『客のことは話せない。』

MJ「その少年国王は一億出しても殺したいと思われるほど悪い奴なのか」

『それも話せん。やるのかやらんのか。』

MJ「ふーむ、セコイと言われそうだが一億にはひかれる。やるよ。」

『よし。』

というわけで、MJはエメラダにやってきました。宮殿を見渡せるおあつらむけの高台に陣取り望遠鏡で宮殿側に注意を払いつつスナイパーライフルをセットする。

MJ「さーて長期戦になりそうだな。」

かと思いきや、廊下をのんきに歩く例の国王が見えた。

ミハイル『……』

チコ『……』

これはチョロいもんだとライフルの引き金を引いた。弾丸は正確にミハイルの頭部に定まっていたが窓ガラスに着弾した瞬間カキンッと音を立てて阻まれてしまった。

チコ『今、なにか窓にぶつかりませんでしたか?』

ミハイル『鳥か何かだろう』

一瞬窓の方に目をやったが国王とおつきの女は何事もなく行ってしまった。

MJ「ライフル弾が当たってヒビも入ってない……。なんという防弾ガラスだ。なるほど、一億出しても殺したいと思われるほどの人物はとっくにガードを固めているということか。面白くなってきた。」
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