ー日常ー街の住人達【9】

ーアラファト家政婦派遣協会:別室ー

マリア「あ、ちょっと用事を思い出しました。」

逃げ出そうとしたおマリだったが熊の如き大きな手に首根っこを掴まれた。

お熊「逃がさないわよ。」

マリア「嫌です!旧KGBがウヨウヨしてるかもしれない教団に奥さまメークで忍び込むなんて絶対に嫌です!」

お熊「たしかに教団の中枢には昔の仲間を集めてるかもしれないわね。でもね、おマリちゃん他に方法はないのよ。このまま教団とCHMに活動を続けさせられたら、いずれ日本中の人間が恵方巻のつまりトロとイカの中毒にされてしまうわ。」

マリア「……」

お熊「そんなことになっていいの?」

マリア「それは……それはよくないです!でも、私ではなくてもいいでしょう!CIAがやればいいじゃないですか!」

お熊「物理的に忍び込むだけなら、うちの部員にもできるわ。でも、それだけじゃダメなのよ。牧師に、カチンスキーにとりいって一千億円の裏資金をどこにどうやって隠しているか、探りださなくちゃならないの。そして、それを我々が手に入れて資金を断たない限り連中の活動を止めることはできないわ。それができるのはおマリちゃんあなただけなのよ。」

マリア「ですからーー!」

お熊「カチンスキー好みの女性に化けて近づいて色仕掛けで情報を引きだす、やることはそれだけよ。」

マリア「簡単におっしゃいますがぜんぜん自信がありません!」

お熊「日本国民がどうなってもいいの?」

マリア「ぐっ、それをいわれると……本当に他に手段はないんですか?」

お熊「あったらこんなに熱心に説得したりしないわよ。」

マリア「はー……わかりましたやります。」

お熊「えらい!それでこそ大和撫子よ!女の中の女だわ!」

マリア「おかしな持ち上げ方をしないでください。それより下手をすると命にかかわりかねないんですからね。万全の安全の対策をお願いします。」

お熊「もちろんよ。いろいろ用意するわ。」

なにかしらの準備をしてもらっている間におマリは奥さまメークを始めた。なんやかんやと変装を繰り返しているうちにメークも手慣れてきたもので、こちらは物の数十分で別人へと化け終わった。

マリア「こんなものでどうでしょう?」

お熊「バッチリだわ。教団本部は中野にあるのワレンスキー牧師めあての入団希望者毎日、山のように訪れてるらしいからそれに潜りこむのよ。」

マリア「分かりました。」
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