ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

「ただいまー」

ムーン「カイケツゾロ号じゃないか何処へ行ってたんだ」

カイケツゾロ号「ちょっとコンビニへ買い物に、レシートを見てくれ。」

差し出されたレシートを見る。お菓子などを買っているみたいだが特に特別変わったところは無いように思えた。

チコ「あっ、777円。」

カイケツゾロ号「ゾロ目だったんだ。なんだかうれしくてさぁ、ハッハッ」

ムーン1「気持ちはわかる。」

チコ「ちょっとした幸せってやつですね。」

そして次の日……

カイケツゾロ号「ただいまー」

ムーン1「なんだカイケツゾロ号またコンビニか」

カイケツゾロ号「ふふっ」

カイケツゾロ号はにやっと笑ってレシートを差し出してきた。

チコ「えっ?あっ、888円」

カイケツゾロ号「連チャンでゾロ目だったよ。ついてるなぁ、ハッハッ。」

また次の日、カイケツゾロ号が前日同様にビニール袋をもって帰ってきたのだが。

ムーン1「あれ?カイケツゾロ号、今日はただいまーがないな」

チコ「どうしたんでしょう。」

すると無言でレシートをさし向けてきた。

ムーン1「またレシート?」

カイケツゾロ号「999円」

チコ「えっ、今日もゾロ目だったんですか?」

カイケツゾロ号「う~ん、一度目は嬉しかったけど三度も続くと何なんだコレはという感じで微妙に気味が悪い」

ミハイル「アホかお前は」

カイケツゾロ号「殿下?」

ミハイル「話は聞いた。」

ムーン1「山さんですか」

ミハイル「今時どれだけの人間が理解できるかどうかは別として、話は聞いた」

カイケツゾロ号「繰り返していっていただかなくても大丈夫です。」

ミハイル「カイケツゾロ号おまえが無意識に計算してるに決まってるじゃないか」

カイケツゾロ号「はあっ?」

ミハイル「おまえは自分が思っている以上に数学能力が高いんだろう。だから値札を見て、とくに意識もしないで計算して買い物をしてるんだ。だからゾロ目になるんだ。」

チコ「そうでしょうか?」

ミハイル「そうに決まってる。」

殿下はそういい切るとどこかへ行ってしまった。

ムーン1「そうなのかなぁ。」

カイケツゾロ号「自分じゃそんなことをやってるつもりはないけど。」

ムーン1「ゾロ号が本当に計算してるのかどうかたしかめる方法はないかな」

チコ「あります」

ムーン1「それは?」

チコ「みなさんでゾロ号さんに買い物を頼むんです。バラバラの品だからゾロ号さんも計算のしようがないはずです。」

ムーン1「なるほど、考えたな。よしそれでいこう。」
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