ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

チコ「殿下、お手紙です。」

ミハイル「誰からだ」

チコ「差出人の名前は……あれ、ありませんね。」

ミハイル「チェックしろ!」

チコ「えっ?」

ミハイル「爆発物によるテロかもしれない!」

チコ「はあ?こんなに軽くてペラペラですよ?」

封筒に入っているものの厚さ数ミリしかない手紙である。

ミハイル「高性能の爆薬なら0.1グラムで人間の5人や10人吹き飛ばせる!」

チコ「え゛っ!?」

思わず手から離れて手紙が空を舞った。

ミハイル「わーっ!ショックを与えるな!」

ギリギリのところで手を添えてチコは手紙をキャッチした。

チコ「はぁはぁ……はぁはぁ……。」

ミハイル「マザーコンピューターMCに頼もう。」

防爆ガラスに覆われた実験室に手紙を置いてMCがスキャンを始める。

MC【トクニ怪しい所ハアリマセンフツウノ手紙ノヨウデス】

ミハイル「中を見てみろ。」

機械のアームが手紙を開いていく。

MC【ヤハリ殿下アテノフツウノ手紙デス】

ミハイル「文面は?」

MC【親愛ナルみはいる殿下、先日ぱーてぃーデオ会イシタ者デス。】

ミハイル「パーティ?」

MC【ソノオリ殿下ノ気高カサリリシサ美シサニオソレオノノイテシマイマシタ。】

チコ「気高さ凛々しさ美しさ?変なこと言ってますね。」

ミハイル「なにが変だ。言ってることは正しいじゃないか文章はおかしいが」

MC【ハッキリ申シ上ゲマス、ヒト目デ恋ニ落チテシマッタノデス。】

ミハイル「えっ?」

MC【オ嫁サンニシテクダサイ。】

ミハイル「はあっ!?」

チコ「パーティといいますと?」

ミハイル「こないだパリで宝石商を集めて開いたパーティかなあ。でも、あのとき僕にそんなに興味を持ったような女性がいたとは思えないが」

MC【文ノ最後ニ名前ガアリマス。】

ミハイル「名前?」

MC【しんでぃー=ろーばー】

チコ「ご存知ですか?」

ミハイル「ローバーさんというとベテランの宝石商だが……」

チコ「だが?」

ミハイル「女の人なんかいたかなあ。あ、そういえばお孫さんを連れてきてたな。」

チコ「その方がシンディーさんなのでは?」

ミハイル「4.5歳の女の子だぞ」

チコ「はあっ?」

そのとき甲高い声が背後から飛んできた。

「殿下ーー!あたし来ましたーー!殿下のお嫁さんになりに!」
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