ー日常ー街の住人達【9】

ーアラファト家政婦派遣協会:談話室ー

マリア「組織の当座の資金だったんでしょう。とにかくお熊さんが……というより、日本CIAが、その10億円を私が公園で拾ったことにして警察に届けたんです。落とし主なんか現れっこありませんから3カ月たって、そのお金は合法的に、私のものになりました。これが5億円の由来です。」

おタネ「ちょっと待ってそれなら借金は90億に減ってるはずでしょ。」

おばさん「あとの5億はどうしたの?」

マリア「日本CIAに手数料として差し引かれました。」

おタネ「スパイってがめついのね…」

そんなこんなで翌日、おマリは日常業務に戻っていて今日の仕事の確認をしていた。

場所は赤羽、ちょっと遠いかと思ってると仕事の内容がかかれていない。なんでだと思って連絡を入れた。

マリア「もしもしアラファト家政婦派遣協会ですが…………えっ、赤羽じゃなく赤い羽根共同募金の手伝い?あのー、家政婦より普通のバイトさんを雇った方が安上がりだと思いますよ。というか、そーゆーのって皆さんボランティアでやってるんじゃないんですか?えっ、カンチガイ?いえいえ、それじゃそういうことで……なんなんだ。」

お熊「おマリちゃん今忙しい?」

マリア「いえ、まったく無意味な会話をしていたところです。」

お熊「人生にはそんな時もあるわよ。そんなことより面白い情報が入ったの。」

マリア「なんです?」

お熊「CIAに旧KGBのことが、なにかわかったら教えてくれるように頼んでおいたんだけどね。最近アブダビCIA支局のエージェントが現役を引退したヒットマンとコンタクトを取って」

マリア「ヒットマンというと野球選手」

お熊「ヒットをたくさん打つ選手じゃないわよ。殺し屋よ。分かっててボケるのはやめてちょうだい。」

マリア「無意味な会話を押してみようかと思いまして。」

お熊「そのヒットマンは過去の罪を問わないことを条件にエージェントにいろいろな情報を話したらしいの、その中に10年ほど前に殺した医者の話があってね。その整形外科医は殺される直前旧KGBのナンバー2の手術をしたと周囲に漏らしていたらしいのよ。もちろんKGBにも、たくさん支局があってそれぞれにナンバー1とナンバー2がいたでしょうから、確実なことは言えないけれど、でももしそれが」

マリア「もしそれが?」

お熊「トカレフを殺したライバー=カチンスキーだったとしたら?カチンスキーは顔を変えて活動を続けていることになるわ。」

マリア「お熊さん!私はトカレフが殺されたとき現場近くに居てふたりの会話を盗聴器で聞いていたんです!」

お熊「そうだったわね。」

マリア「今思い出しました!カチンスキーの声を聞いた時、どこかで聞いたような声だと感じたんです!あの渋い声はテレビで聞いたジョージ=ワレンスキー牧師の声にそっくりでした!」

お熊「なっ!?なんですって!それじゃあワレンスキー牧師は、顔を変えたカチンスキーだというの!?」
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