ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ムーン1「ああ言えばこう言う!」

ムーン2「どうする!このままじゃ、なにをやらかしても言いくるめられてしまうぞ!」

ミハイル「(あぶなかった。)」

派手にずっこけて後頭部を強打したせいか殿下はよろよろと後ろに後ずさった。すると、近くのテーブルにぶつかって、その上に置かれていコップが落下した。

ガシャーンっと音を立てて割れるコップ。これはもう完全なミスである。

ムーン1「あっ!コップを割りましたね!」

ムーン2「明らかなミスです!」

ミハイル「僕じゃない!僕は触ってない!」

ムーン1「触らないのにどうしてコップが落ちたんです!」

ミハイル「……よ、妖怪コップ割りの仕業だ!」

「「「はぁ?」」」

ミハイル「妖怪コップ割りが落としたんだ。」

チコ「まあ言うに事欠いてなんて出鱈目を……」

ムーン44「もしもし?」

ムーン1「おい、どうした携帯なんか」

ムーン44「ミハイル山のカッパ君かけてるんだ。彼は妖怪ことをよく知ってるから、もしもし、そう、妖怪コップ割り……えっ?」

ミハイル「!!」

ムーン44「妖怪茶わん割りならいる?」

ミハイル「茶わん割りだ!妖怪茶わん割がコップを割ったんだ!そらみろ!僕の言うことは出たらめ何かじゃないだろーが!」

そう叫びながらバンバンっとテーブルを叩いた。すると、こんどはその衝撃で花瓶が倒れて割れてしまう。

ムーン1「花瓶を割った!」

ムーン2「これこそ明らかなミスだ!」

ミハイル「妖怪瓶割の仕業だ!」

ムーン44「花瓶割りなんて妖怪はいないそうです。」

ミハイル「カッパを呼べ!」

少しすると本当にカッパがやってきた。全身緑で頭に皿、くちばし、水かき、甲羅とカッパオブカッパなカッパである。

カッパ「なんですかー」

ミハイル「カッパなぜ嘘をつく!」

ムーン44「カッパ君は嘘をつきませんよ。正直者で有名なんです。」

ミハイル「カッパ嘘、カッパウソ……カワウソだ!妖怪カワウソがカッパを操って嘘をつかせているんだ!そうに違いない!」

「貴様なんだと!」

ミハイル「誰だ!」

振り返ると笠をかぶってボロ着を身にまとった毛むくじゃらの妖怪が睨んでいた。

カッパ「ミハイル山妖怪連合会理事のカワウソさんです。付き添いで一緒に来てくれたんです。」

カワウソ「誰がカッパに嘘をつかせてるか!きさまこそとんでもない嘘つきだ!覚悟しろ!」

ミハイル「ぎゃーーー!」

ムーンたちにボコボコにされたくなくて嘘をついたミハイルでしたが、かえってカワウソにギタギタのボコボコにされてしまったのです。
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