ー日常ー街の住人達【9】

ーアラファト家政婦派遣協会:談話室ー

お熊「でも……そうすると逃がしたくはないわね。」

マリア「はい?」

お熊「おマリちゃん、今夜もうひと晩だけ、そのお宅にいってもらえないかしら」

マリア「え」

お熊「その間になんとかしてドS気質の家政婦を探してみるわ。」

マリア「わかりました。じゃあ、CHMに一本連絡を入れときます。」

お熊「そうしてちょうだい。」

携帯を取りだしてCHMへの短縮を押した。

マリア「もしもしCHMですか美空へばりです。」

お熊「美空へばり?」

マリア「実は娘が急に産気づきまして……今夜はついててやりたいものですから……はい、明日はうかがいますので。……オッケーです。」

お熊「じゃあ、いってらっしゃい。」


~~


CHMへの潜入調査とはまた違った足取りの重さのまま熊木邸へとやってきた。

マリア「こんばんわー」

熊木「おお、おマリもどってきてくれたのか!」

例の変態ルックででてくる熊木氏、顔が引きつりそうになるのを耐えつついった。

マリア「あのー今夜ひと晩だけ…」

熊木「なんじゃそうか。残念じゃのう、おまえさんは、わしのツボをよう心得てくれておったのに。」

「さあ!あたしのムチを味わいたい豚野郎はどこだい!」

中に入ると女の妙な叫び声が聞こえてきた。

マリア「え?」

熊木「いや、おまえさんが長期間別の仕事につくことになったと聞いたのでCHMに電話して…」

マリア「(CHM!)」

CHM員「アラファト!」

鞭片手に紫のマスクをつけたCHM員が出てきた。控えめに言って変態である。

マリア「(また変なのが現れたなぁ。)」

CHM員「やめたはずの人間がどうしてもどってきたの。」

マリア「これから別の仕事につくことになったので最後のご奉仕です。」

CHM員「余計な事を……でも無駄よ。あなたが最後の奉仕なんて意味はないわ。」

マリア「そのココロは?」

CHM員「熊木様のご依頼を受けて、あたしがCHMの中から選別されたのよ。なぜだと思う?」

マリア「なぜです。」

CHM員「以前、SMクラブで働いていたプロだからよ」

マリア「……」

CHM員「プロのテクニックを味わったら素人のあなたのいたぶり何かじゃ、物足りないと熊木様もおっしゃるわ。今のうちに尻尾を巻いて帰ったほうが身のためよ。」

だったらもうこのプロの肩に任せてしまってもいい気がしているのだが、お熊さんは納得しないだろうなぁとおマリは複雑な心境だった。
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