ー日常ー街の住人達【9】

ーフランス:パリー

ミハイル「まだだ!僕の実力はこんなものではない!」

ソー「キャー!」

調子に乗り始めた殿下はソーに飛びかって暴れ出した。するといつの間にか殿下の姿が見えなくなって上半身が裸になったソーだけが取り残されている。

チコ「あれ?」

ソー「いつのまに上半身裸に…」

ヒマナ「殿下はどこだ」

『ここだここだ!』

ソー「!?」

ソーの背後というか背中から殿下の声がした。見てみると殿下の顔だけがソーの背中に生えている。

ミハイル『ふはははっ!これぞ究極変装「人面瘡」だ!ぼくの底力を思い知ったか!』

ソー「わかった!分かりましたから離れてください!」

チコ「うわぁ…キモイ」

パルン「アレは初めてみたな」

ヒマナ「気持ち悪いがスゴイ!その変装なら問題を解決できる!殿下、元の姿にお戻りを!」

ドタバタ暴れているソーからいつの間にか離れて普通の人間(?)の形に戻っていた。

ミハイル「ホッホッ。どうだ。」

チコ「ものすっごくキモかったです。」

ひと悶着はあったが、ようやく当初の目的であったヒマナ氏の相談を聞くことになった。

ヒマナ「フランス軍情報部から世界名探偵友の会の会員と見込んでの依頼がありまして。」

ミハイル「ふむ」

ヒマナ「掻い摘んで言えば、ある秘密結社の会合に参加するリーダーがその日、赤い靴を履いているか黄色い靴を履いているか、確認してほしいというのです。」

ミハイル「はあっ!?」

チコ「靴の色ですか?」

ヒマナ「靴の色にどんな意味があるかは国家機密なので教えてもらえませんでしたが、とにかく、それが確認できないとパリで大規模なテロが発生する恐れがあるそうでして」

ミハイル「しかし靴の色くらいなら」

ヒマナ「ことはそう簡単ではないのです。まず、会合が開かれるのは深い地下の一室おまけにメンバーは金属探知機などで完全に調べ上げられるので機械的な盗聴盗撮は一切不可能なのです。依頼を引き受けたのはいいが準会員の私の手には負えない問題でした。」

ミハイル「そんなにむずかしいですか、会合が終わればリーダーも家に帰るのでしょうそこをねらえば」

ヒマナ「リーダーは地下室に住んでるんです。」

チコ「えぇ……」

ミハイル「うむむ、確かにそれは厄介ですね。」

ヒマナ「ですから殿下に協力をお願いしたところ、さっそく不気味な、いやすばらしい変装を見せていただきました。あれならOkです。メンバーの背中に張り付いて潜入すれば、探知機にも引っかかりません。」

ミハイル「えーと……最近忙しくて」

ヒマナ「情報部から謝礼はたくさん出ます。」

ミハイル「親友の頼みは断れない任せてもらいましょう。」

ヒマナ「おおっ、さすがは正会員頼もしいお言葉!」

ミハイル「ドーンと大船に乗った気でいてください!ハッハッハッー!」
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