ー日常ー街の住人達【9】

ーフランス:パリー

ミハイル「パリというのは霧が濃いな。」

チコ「時期のものなんですかねぇ。ところで、お正月的なあれは?」

ミハイル「何を言ってるんだ。まだ正月じゃないぞ。」

チコ「ああ、そういう感じなんですね。それでパリに来た目的は?」

ミハイル「ヒマナ氏だ」

パルン「私立探偵の?」

ミハイル「ああ、なにか難問を抱えているらしくてな。前回の僕のみごとな推理を聞いて、ぜひ協力してほしいと連絡してきたのだ。」

チコ「はあ」

テナントに辿りつくとヒマナ探偵事務所とプレートのかかったドアを二度ノックした。

「入ってます」

ミハイル「フランスくんだりまで気の抜けたギャグを聞きに来たわけではなーい!」

殿下が騒いでると中から眼鏡をかけた女性が出てきた。

「なんなんですあなた方」

ミハイル「ありゃ、えーとヒマナ氏は?」

「所長は外出中です。外でお待ちください。」

ミハイル「なんなんだ。」

そういわれて待合用のソファーに三人でかけて待っていると、エレベーターが開いて中からヒマナ氏が出てきた。

こちらに気がつくと声をかけてくる。

ヒマナ「これはミハイル殿下と…」

チコとパルン号は会釈で返す。

ヒマナ「(彼はもしかして)」

ミハイル「(パルン号です。目を話すと物騒なので連れてきました。)」

ヒマナ「国王陛下もたいへんですな。ところで中でお待ちくださればよろしいのに」

ミハイル「受付の女性に外で待てといわれたんです。」

ヒマナ「はあ?うちには女性の職員はおりませんが」

ミハイル「えっ」

ヒマナ氏と一緒に中へ入ると、青年がひとり居てニヤニヤと笑っていた。それを見てヒマナ氏が言った。

ヒマナ「あっ、またやったな!」

チコ「どうしたんですか?」

ヒマナ「助手のヘン=ソーです。名前の通り変装が特技でして。」

ソー「私立探偵には変装がつきものなので訓練したんです。ぼくの女装はいかがでした?」

ミハイル「完全に騙されたな。素人にしてはいい線だ。」

ソー「ほお、ぼくを素人呼ばわりするとはご自分は玄人だとでも?」

ミハイル「おい、あれをやれ。」

チコ「はぁ…」

いわれるままにチコはミハイルの頭を掴んで引っ張り上げた。するとベリッと顔が取れて一つ目の顔が現れる。さらにめくると今度は顔が二つある化け物。ゾンビ、フランケン、のっぺらぼうと百面相芸を披露する。

そして三つ目の半魚人の顔でヘン=ソーに迫った。

ミハイル「どうだ。僕は変装の大家(おおや)なのだ。いや、大家(おおか)なのだ!」

ソー「ひええ、おみそれしました!」
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