ー日常ー街の住人達【9】

ー家政婦派遣会社:CHMー

列を避けて会社の方へと向かうとCHM員が声をかけてきた。

CHM員「あー、もしもしちゃんと列にならんでください。」

マリア「家政婦募集のチラシを見てきたんですが」

CHM員「あっ、それなら中に入って人事部へどうぞ」

中へと案内されて人事部へと向かった。受付にニセの履歴書を提出する。

人事担当者「美空へばり42歳。家政婦としての経歴は……えっ、アラファトにいたんですか?」

受付から話が通って人事担当なのか禿げあがった頭に眼鏡で中年の男対応して目を通していた履歴書から顔をあげる。

マリア「はい、あちらはお給料はいいんですが人使いが荒くて」

人事担当者「そうでしょうともアラファトは暴利をむさぼるガリガリ亡者の集団ですからな。」

マリア「(ガリガリ亡者?ひさしぶりに聞いたなぁ。それにしてもひどい言われ方ね。)」

人事担当者「おーい教育担当官。経験者だ。家政婦としての実力をチェックしてくれ。」

教育担当官「わかりました。」

トレーニングルームと書かれた部屋に案内された。中では既に何人もの家政婦と担当官がいろいろなやり取りをしていた。

担当官「ちがうちがう、ホウキを使う時は濡らした新聞紙をちぎって床に撒いて」

家政婦見習い「掃除機じゃいけないんですか」

担当官「お年寄りのお宅ではホウキしかない場合もあるんだ。」

マリア「(ここで素人を急ごしらえで家政婦にするわけね。)」

教育担当官「では、やっていただきましょう。」

マリア「はい。」

掃除、炊事、裁縫、あれやこれや、なんやかんやをひと通りやってみせる。

教育担当官「まあ!ちょっとお待ちを」

人事担当者「なに大ベテラン!?」

教育担当官「なにをやらせても一流です。よくアラファトが手放しましたね。」

人事担当者「そーゆーことなら……美空さん!」

マリア「はい?」

人事担当者「美空さんには派遣家政婦としてではなく、こちらで教育担当官をやっていただきたいのですが。」

マリア「はっ?教育担当?」

人事担当者「教える人間の絶対数が不足して居ましてね。教育にまわってもらえたら通常の家政婦より給料はいいですよ。」

マリア「それでしたら……」

人事担当者「おお、引き受けてくれますか。よかったさっそく会長に紹介しましょう。」

マリア「(思ったより早く中枢に近づけそうね。)」
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