ー日常ー街の住人達【9】

ーアラファト家政婦派出協会:談話室ー

マリア「困りましたねぇ。恵方巻の秘密を探るために変装してCHMに忍び込むことになったけどどうすればいいのかしら。」

お熊「おマリちゃん、会長はすみやかにCHMに潜入しろといったのよ。座り込んでなにをしてるの。」

マリア「お熊さん、どんな変装をしたらいいか迷ってるんです。」

お熊「こないだのおばあちゃんは?あれは良かったわ。」

マリア「CHMに見られてますからね。バレる可能性があります。」

お熊「それじゃ、とにかくいろいろやってみるのよ。考えてるよりまず行動よ。」

マリア「やれやれ、やってみますか。」

しばらくして、おマリはハンチングに銀ブチ眼鏡、口元に髭、蝶ネクタイとスーツとステッキ姿で出てきた。

お熊「なにそれ」

マリア「コンセプトは英国紳士」

お熊「日本に英国紳士がいるのは不自然だわ。」

マリア「ダメですか。じゃあ…」

続いては金髪ロング、長いツケマにセーラー服とやたらごちゃごちゃした小物類。三種類ぐらいの単語のみで会話しそうな女子高生である。

お熊「あのね、家政婦として雇ってくださいといってCHMに近づくのが、一番自然なのよ。高校生じゃ雇ってくれないわ。」

マリア「難しいですね…。」

ピッチリとした全身スーツに真っ赤なマント。アメリカンなヒーロー、スーパーマンスタイル。

お熊「おマリちゃん」

髷に打掛、袴に腰にさしたるは刀な武士スタイル。

お熊「だから」

袈裟姿で坊主頭に目玉がひとつ。一つ目小僧スタイル

お熊「ふざけてるとはっ倒すわよ!もっと真面目にやってちょうだい!時間がないんだから!」

マリア「思いつかないんですよ。」

お熊「家政婦として、もぐりこむんだと言ったでしょう。だから、コンセプトは中年女性だと思うわ。」

マリア「それを先にいってください。」

変装のコンセプトが決まったのでそれに合わせた服装にメークキャップを施した。その姿は誰がどう見ても小さめのおばさんなほどの出来栄え。

お熊「グッド。それでいいのよやればできるのになにを、ひとつ目小僧なんかでおちゃらけてるのよ。」

マリア「変装は素人なんですってば。」

お熊「おマリちゃんCHMに潜入したら、何を探るべきかわかってるわね。」

マリア「ええと、まず彼らが体内で危険な物質に変化するトロとイカの組み合わせを、どこで知ったのか」

お熊「そう」

マリア「彼らがトロイカ体制復活させたがってるのはなぜなのか」

お熊「そう」
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