ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

新人の三人とワンテンポ遅れてずんぐりむっくりしたムーンがいった。

ムーン(?)「わかりました先生!」

「「「え?」」」

チコ「……」

パルン「……」

おもむろに頭を掴んで引っ張るとベロンと皮膚ごと取れて下からのっぺらぼうが現れた、さらにその顔を引っ掴むとまたまたべろんっとめくれて大きな一つ目の顔、次は爬虫類のようなうろこの怪人、複眼、口だけ、牛、美形……etc.

チコ「殿下、いいかげんにしてください!」

どういうカラクリか数十枚のマスクを剥ぎ取るとようやく潰れた肉まん……もとい殿下の顔が現れた。

ミハイル「よく僕の変装と分かったな」

パルン「わからいでか!新人教育中なのに、なぜ邪魔をするんです!」

ミハイル「たいくつなのだ。」

チコ「仕事をしてください!仕事を!」

ミハイル「ちぇー」

殿下にしては大人しく引き下がって部屋から出ていく。

パルン「やれやれ、諸君もこれから経験すると思うが殿下は意味もなくちょっかいを出す名人だから極力無視するように。さらにいっておくが殿下がそのうち…」

ミハイル『お金を拾ったら交番でなく、僕に届けろ。』

パルン「などとぬかす、いや、おっしゃるかもしれないが、相手にしてはいけない。」

「「「なぜです?」」」

チコ「着服するに決まってるからです。」

新人1「ええっ、一国の王さまがですか!?」

パルン「身分は関係ない。肝心なのは人間性で「セコイガメつい意地汚い」が本質の殿下は「清く正しく美しく」の正反対に位置する生物だ。ようするに君たちがまっとうな人間として生きたかったら殿下と反対のことをやってれば間違いないわけなのだ。」

「「「はあ」」」

ドアの影で出ていったはずの殿下がこめかみに青筋を浮かべていた。

ミハイル「(なんなんだアイツは言いたいことを言いおって、教育係か何か知らんが自分はそんなに立派な人間なのか)」

ムカッときたミハイルはそれから心を入れ替えて人々に尊敬されるよう真面目に生きていこうと……するはずもなく、ムーン用の宿舎へと向かいました。

ピッキングで鍵を開けパルン号の部屋へといき、あいつも若い健康な男だ。なにはなくともHな本の2.3冊は隠し持ってるはず。

それをみんなにバラして評判を悪くしてやろうと、セコイ考えで部屋の中をあさり始めました。
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