ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

今期もムーン部隊に3名の新人が配属された。

新人はまず教育係が面倒を見ます。今回新人教育係の担当になったのがムーンパルン号。そして補足説明などを担当しているのがチコだった。

パルン「さてと君たち、準備にどれぐらい準備がかかった。」

ムーン部隊は仕事中は配給された制服とカツラ含むメークキャップが義務付けられております。これは一定水準の知力体力が伴えば国籍や容姿、髪形、人種などの制限が設けられていない代わりに職務中は一糸乱れぬ統率を発揮するようにということなのです。

「「「まだ慣れてませんので30分ほどです。」」」

パルン「だろうな。」

パルン号は素顔から一瞬にしてムーンのメークキャップを終える。

「「「おおっ」」」

パルン「なれればこれぐらいのスピードでできるようになる、しかしムーンに必要なのは姿かたちではない。ハートだ。心構えだ。」

「「「はあ」」」

パルン「ムーン部隊は大所帯だからいろんなのがいる。善人を絵に描いたような隊員もいればこすっからいのもいる。」

チコ「かつて手癖の悪い人がいて公金を横領して、国外に逃亡しようとしたところをミハイル殿下に捕まった例もあります。」

新人1「その隊員はどうなりました?」

パルン「さあ」
チコ「さあ」

新人2「さあって……」

チコ「その後誰も姿を見ていません。」

「「「……」」」

ゾッとする話を淡々と話された新人たちである。

パルン「もちろんそんな悪質なのは珍しいが……しかし人間には出来心ということがある。人間ならだれでもだ。しかしムーン隊員に限ってそれは許されない。もし君たちが大金の入ったカバンを拾ったらどうする。」

新人3「交番に届けます。」

パルン「当然だ。ではそれが10円玉一枚だったら?」

新人1「10円ですか」

新人2「わざわざ届けるのもなぁ。」

新人3「拾ってそのままにするかもしれませんね。」

パルン「それがいかん!いやしくても、ムーンためもの、いつどこでひとに見られているかわからんのだ!それがたとえ10円といえども、ポッポナイナイなどしたら!」

「「「ポッポナイナイ?」」」

パルン「ムーンがネコババしたと噂がたち、それがひいては部隊全体の信用を落とす結果にもなるのだ!ムーンは常に品行方正!エメラダ国民全員の模範となるべく、清く正しく美しく行動せねばならんのだ!新人諸君、わかったか!」

「「「はい、わかりました!」」」
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