ー日常ー街の住人達【9】

ー代々木:路地裏ー

マリア「(キョロキョロして怪しい奴。泥棒かしら。)」

建物の陰に身を潜めて怪しい男を観察していると反対側から誰かがやってきた。

CHM員「お待たせしました。」

マリア「(あの制服はCHM!)」

「本当か!本当に恵方巻があるのか!」

マリア「(恵方巻き!)」

CHM員「新工場の試作品です。2万円です。」

「一本2万円!?」

CHM員「持ちだすのにずいぶん苦労したんです。そのくらいはいただきませんと。」

「く~~わかった!背に腹は代えられない2万円払おう!」

CHM員「まいど」


~~


おマリは猛スピードで家政婦協会に帰ると見てきたもののことを説明した。

マリア「ということだっんですよ!!」

「「「……」」」

マリア「もしかしたらお熊さんが工場を爆破しなくても」

番頭「えっ、あれは、お前の仕業だったのか」

お熊「なにをいまさら」

マリア「お熊さんがやらなくても、自分たちでわざと事故を起こして生産をストップさせるつもりだったんじゃないでしょうか!そしてあとから小出しにすれば!恵方巻に飢えたひと達は、いくらでもお金を払うでしょう!」

会長「まるで麻薬の密売そのものじゃ」

お熊「会長、CHMの真の目的は古くて新しい永遠の命題「お金」だったようですね。あとは彼らが、どこでトロとイカの組み合わせを知ったかよ。それがわかれば連中の陰謀の全容が分かるわ。」

会長「よし、プロジェクトチーム発動じゃ。わしは実際にロシアへ行ってみよう。その組み合わせは地元の漁師が偶然発見したものじゃろうから。」

番頭「では私は国会図書館へ」

お熊「あたしはアメリカの化研に危険物質の特定を再依頼します。」

マリア「……」

お熊「おマリちゃんも調べるのよ。」

マリア「えっ」

お熊「あなたもチームの一員なんだから」

マリア「えっ、そうなんですか?聞いてないし調べるったって、どうやって……」

側に目をやるとパソコンが置いてあったのでとりあえずネットでなにか分からないかと起動した。

そして少し考える。そもそもなぜ恵方巻なのだろうか。トロとイカを一緒に食べさせるには海苔巻きかちらし寿司しかない、海苔巻きしたほうが持ち運びに便利だからかだろうか……。

そんなことを考えながら「恵方巻」と入力し、検索した。

江戸時代、流行し明治に入ってから、すたれるが1977年ごろ大阪の船場で復活……。そのころ復活のきっかけになるような出来事があったのだろうか。

今度は1977年で検索するとロシアが出てきた。
1977年レオニード・ブレジネフ書記長が旧ソビエト連邦の最高指導者となる。その結果、当時KGB議長だったユーリ・アンドロポフが強力に推し進めていたトロイカ体制が凍結され。
55/100ページ
スキ