ー日常ー街の住人達【9】

ーアラファト家政婦派出協会:会長室ー

会長「CHMがどうしてその事実を知ったかはわからん。しかし奴らは確信犯的にトロとイカで恵方巻を作り中毒患者を生産し続けておるわけじゃ。」

マリア「なんのために!」

会長「さあ」

マリア「えぇ…じ、じゃあ、警察に通報しましょう!」

お熊「無理」

マリア「どうして!?」

お熊「残念ながら科研の分析は恐らくそういうことだろうという推論でしかないのよ。体内で生成された物質そのものを突き止めてもいないし……だいたいもとはうまみ成分なんですからね。」

マリア「でも、なんとかしないと!」

お熊「何とかしなけりゃいけないのは、もちろんだけど……でも、例えばチョコレートが大好きな人がいるとするわ。」

マリア「なにチョコですか?ホワイト?イチゴミルク?カカオマックス?チョコレイ島?やっさいもっさい?」

お熊「そこはなんでもいいのよ!」

会長「やっさいもっさい?」

マリア「話を続けてください」

お熊「コホン、チョコレートを一日に五箱も十箱も食べずには、いられないとすると、この人はチョコ中毒といってもいい状態だけど。だからってチョコを規制できる?」

マリア「それは…」

お熊「甘いものを食べすぎて病気になって、たとえ死んでも、それは本人の責任だわ。恵方巻も同じよ。あくまでもし好品であって、官憲が手を出せる問題ではないのよ。」

マリア「じゃあ、ほっとくんですか?」

お熊「そうはいってません。まずは調査よ。CHMという位置す政府派遣会社が、なぜ体内で危険な物質に変化するトロとイカの組み合わせを知っていたのか。また、彼らの真の目的は何なのか。会長、知らなくてはならないことがたくさんあります。」

会長「よし、調査のためのプロジェクトチームを発足させよう。」

マリア「ぷろじぇくとちーむー!?まどろっこしくてなんだかイライラするんですけどーー!」

お熊「おマリちゃんイライラしてていいの。夜もお仕事があるんじゃなかったの?」

マリア「あっ、代々木の定岡(さだおか)様のお宅に行ってきます。」

お熊「そうそう、まずは日時用のお仕事をきちんとこなさないとね。」

日が出ているうちに出た仕事だが、帰るころには月が出ていた。

マリア「あー、疲れた。まさか野球のお相手をさせられるとは思わなかった。」

帰路についていると、ふと目の前でいぶかしげにあたりの様子をうかがっている中年男性を見つけた。
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