ー日常ー街の住人達【9】

ー一軒家:後先邸(仮)ー

マリア「サンプルですか。それはつまり……」

お熊『恵方巻をどうにかして丸々いっぽん手に入れてちょうだい。』

マリア「違法な物を混ぜてる可能性があるのに渡してもらえるでしょうか。」

お熊『素直に渡さず危険なことでも起こりそうだったら、大声を出すのよ。いいわね。』

そこで通話は切れた。危険なことが起こりますと言われたようなものである。不安な気持ちのまま一夜が明けた。

そして次の日の朝、時間通りにCHM員がやってきた。

CHM員「おはようございまーす。そろそろ朝昼晩3食お食べになりたいのではないかと思って朝食用に恵方巻を持ってまいりましたー。」

客の反応をみこしている。強い習慣性を確認している証拠だ。

マリア「ありがとう。でも、今ちょっとお腹の調子が悪いから、あとでいただくわ。おいていってちょうだい。」

それとなく恵方巻を確保できないかと話してみた。

CHM員「そういうことはできません。あたくしどもの目の前で食べていただくのが決まりです。」

マリア「いえね、お年寄りだから、食欲のわかない時もあるのよ。あとでちゃんといただきますから。」

CHM員「それでは昼ごろ昼食用と合わせて二本持ってまいりますので目の前でお召し上がりください。」

マリア「二本もいっぺんに食べられないわよ。いいから置いていって。」

CHM員「できません。それは規則違反です。」

どうあっても渡す気はないらしい。仕方ないとおマリはCHM員の手から恵方巻を奪い取った。

マリア「いいから!」

CHM員「あっ!返しなさい!」

さらに奪い返そうと掴みかかってくる。こうなったら最後の手段とマリアは力いっぱい叫びながら逃げ出した。

マリア「キャーーーッ!!」

CHM員「くっ、年寄りとは思えない元気の良さ……G3P地区夢後邸に突撃隊を!」

無線のようなもので応援を呼ぶと家の外でバイクの排気音が近づいてくる。近くで仲間が待期していたのだろう。数人の男たちが乗り込んできたと同時に巨大な影が男たちをなぎ倒してついでにマリアと追いかけっこをしていたCHM員を殴り倒した。

お熊「別動隊は片づけたわサンプルをもって裏から逃げるのよ!急いで!」

マリア「ひえーー!」


~~


次の日

おばちゃん「今朝、となり町のどこかの工場で爆発事故があったそうですね。」

番頭「どうやら爆弾がしかけられたらしい、ほんにぶっそうな世の中じゃ。」

お熊「サンプルから違法な物質は検出されなかったそうよ。」

マリア「でも、絶対なにかあるはずです。でなけのゃあんな習慣性が……。」

お熊「念のため本国に送ってアメリカCIAに、さらに厳重に分析してもらうわ。とりあえず恵方巻を作っていた食品工場は爆破したから」

マリア「お熊さんの仕業だったんですか!?」

お熊「とうめん新たな恵方巻の……いわば中毒患者は出さずに済むけれど…でも、いよいよCHMがただの家政婦派遣会社でないことがはっきりしてきたわ。おマリちゃん、これからもと荒っぽいことになるわよ。覚悟しといてね。」

マリア「は、はい…。」
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