ー日常ー街の住人達【9】

ーアラファト家政婦派出協会:会長室ー

マリア「本当ですか?みんなしてわたしをからかってるんじゃないですか?」

お熊「からかうなんてとんでもない!あなたは変装の大天才だわ!」

マリア「言われれば言われるほどドッキリカメラじゃないかと思ってしまう。」

家政婦「番頭さーん!たいへんです!たった今、20軒のお宅から、お仕事のキャンセルが!」

番頭「なにっ!20軒じゃと!CHMの台頭以来、営業成績はずっとジリ貧じゃが一度にそんな大量のキャンセルは初めてじゃ!」

お熊「会長、なにか起きてます。CHMがなにか仕掛けてます。」

会長「スパイ大作戦発動じゃ!!」

マリア「無理!無理無理、無理です!わたしには敵の本陣に乗り込む度胸なんかありません!」

お熊「おマリちゃんの言う通りです。技術はすぐれていても、変装に関して、まだ初心者、思わぬボロを出す恐れがあります。」

会長「ではどうするのじゃ!」

お熊「要はCHMがなにをやっているのかわかればいいのですから……番頭さん、家を一軒調達できるかしら。」

番頭「うむ、なんとかしよう。」

マリア「どうする気ですか?」

お熊「要するにヒソヒソ」

マリア「ああ、それなら一人を相手にするだけだから気が楽です。」


~~


数日後、番頭さんが用意した一軒家にCHM員がやってきた。

CHM員「CHMでーす!お電話ありがとうございましたー!夢後(ゆめあと)アリマさまでございますね。」

そう、お熊の考えた作戦はマリアを送りこむのではなく、ダミーの家を用意してCHMを誘い込んで働かせるという作戦だった。

マリア「ええ、ご苦労様。いえね、先週までアラファトさんにお願いしてたんだけど、お宅の方が安いと聞いたものだから」

CHM員「はい、CHMでは暴利をむさぼるアラファト協会の半分のお値段でサービスさせていただきます。」

マリア「(まったく)」

CHM員「それにしても夢後(ゆめあと)様って珍しいお名前ですわね。」

マリア「先を後にしただけで」

CHM員「えっ?」

マリア「いえいえ、とにかく、今日一日働いてみてちょうだい。仕事ぶりが気にいったら、雇わせてもらうわ。」

CHM員「はい、もちろんですわ。」

マリア「掃除洗濯、それにお昼の用意をしてもらいましょう。」

CHM員「わかりました。」

言われた通りの仕事を始めるCHM員。

その様子を見てマリアは考える。まじめではあるが短期間の教育しか受けてないから手際が悪い。ベテランぞろいのアラファトの家政婦たちにくらべたらまるで素人。いくら安いとはいえこの程度の働きでどうやってCHMは成績を伸ばしているのか……。
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