ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ハラヒレホテルー

殿下に言われてすぐに携帯で連絡を取り始めた刑事。

ケージ刑事「もしもし…………えっ、はぁ、へーえ。」

ミハイル「どうした?」

ケージ刑事「エメラダ市内に高水圧防止区域というのがあるのはご存知ですか?」

ミハイル「なんだそりゃ」

ケージ刑事「市内の一定の地域だけ水道局の設計ミスで全体を流れる水量がすごく少ないんです。そこで水圧を高くすると一部の家で水道が出なくなるので、その地域だけ水圧がまわりの三分の二に設定されてるんです。それが防水圧防止区域です。その地域に住む一人の客が被害者、小さな水道工事会社の社長ですが、に対しうちだけ水圧を上げてくれとたびたびわがままな申し入れをして社長を困らせていたそうなのです。」

チコ「なぜ水圧を上げろと?」

ケージ刑事「シャワーの勢いが弱いのは我慢できないそうで。」

ミハイル「ほんとにわがままだな。客の身元は?」

ケージ刑事「オジン=オボズーンという男です。」

ミハイル「探して連れてこい。」

チコ「わかりました。」

ミハイル「怪しいな」

ケージ刑事「防止に隠していたのは何だったんでしょう」

ミハイル「水圧や水量に関するものか、あるいは社長に愛人がいてもらったラブレターを大切に持ち歩いているのを知って、それを奪えばおどせると考えたのかもしれない。どっちにしても推量でしかない。本人が来ればわかることだ。」

ケージ刑事「はあ」

それから一時間後……

オジン「オズボーンです。警察がご用とはなんですかな。」

ミハイル「(やはり怪しい)オズボーンさん、あなた今日このホテルに来ましたか?」

オジン「……いいや」

ミハイル「監視カメラを調べれば、すぐわかることですよ。」

オジン「……むっ」

ミハイル「(決まりだ)今日ここで殺人事件がありました。オズボーンさん、犯人はあなただ。」

オジン「どっ、どうしてそんなことをおっしゃる!」

ミハイル「帽子で推量したのだ。」

オジン「なぜそれを!」

ミハイル「ケージ刑事あとはまかせる。」

オジン「ち、違うんだ!今日、用があってホテルに来たら社長を見かけたので、いつものように水圧を上げろとかけあったら突然キレてスパナを振りかざしてきて。もみあってるうちに、つい……」

ケージ刑事「妙にあっさり白状したな。」

オジン「あんなことをズバリと言われたら…」

チコ「殿下がなにか言いましたか?」

オジン「防止で水量」

チコ「(殿下は帽子で推量と……この犯人は高水圧防止区域!少ない水量!カン違いだ!!)」

自分では名探偵気取りのミハイルでした。
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