ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ハラヒレホテルー

ミハイル「凶器は?」

ケージ刑事「被害者が持っていたスパナです。」

チコ「なぜガイシャの物だと分かったんですか?」

ケージ刑事「会社の名前が入ってました。」

ミハイル「うむ」

ケージ刑事「指紋も調べていますが犯人に前科がない限り特定するのは難しいでしょう。」

ミハイル「だろうな」

話しながらケージにボイラー室前まで案内された。

ケージ刑事「ここが現場です。被害者は踊り場で頭から血を流して死んでいるのを発見されたのです。死体や散乱した工具などは片付けましたが写真は撮ってあります。」

ひと通り現場を確認した後、ミハイル達はホテル内の会議室に向かった。

ミハイル「これがスパナか」

凶器の写真に会社の死体写真などに目を通していく。

チコ「特におかしなところはありませんね。」

ミハイル「うー……ん?」

ケージ刑事「なにか?」

ミハイル「ガイシャは作業服を着ているな。」

チコ「はい」

ミハイル「だったら作業帽をかぶってるはずなのに、写真のどこにも帽子はうつっていない。」

ケージ刑事「帽子を見た覚えはありませんよ。」

チコ「そもそもかぶってなかったのではありませんか?」

ミハイル「いや、万一の時、頭を守るために工事をする人間には絶対必要なはずだ。それなのにない…なぜだ……犯人が持っていったのか!」

ケージ刑事「えっ?」

チコ「なぜ?」

ミハイル「考えられるのは…帽子になにかはいっていた。かさばるものではありえない。手紙か書類か、とにかくうすい物だ。そしてそれは帽子に縫い付けられていた。」

チコ「なぜわかるんです?」

ミハイル「帽子の内側に挟んであっただけなら、それだけ持っていけば済むことだ。しかし、犯人はそうしなかった……なぜか?」

チコ「えーと……縫い付けられていて現場でグズグズしてるわけにはいかないから犯人は帽子ごと持っていかざるを得なかった?」

ミハイル「うむ。そうだ、そう考えられるだろう。」

ケージ刑事「なるほど」

ミハイル「防止に縫い付けて持ち運ぶぐらいだから、その手紙か何か本当になにかはわからないがガイシャにとって大切な物だったわけで犯人にとっても同様だからこそ殺人を犯してまで盗んでいったのだ。」

チコ「ということは……犯人はガイシャの顔見知り!!」

ケージ刑事「ですね。赤の他人が帽子の手紙のことを知ってるはずはありませんからね。」

ミハイル「水道工事会社に連絡してガイシャが誰かと揉めてなかったか確認しろ。」
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