ー日常ー街の住人達【9】

ーアラファト家政婦派出協会:談話室ー

お熊「悪夢を見るのには必ず理由があるはずよ。ストレス高過去のトラウマだか知らないけど。どっちにしてもそれをさぐるのは素人じゃ絶対無理。」

マリア「無理ですか。」

お熊「やっぱり専門家のカウンセリングを受けさせないとね。」

マリア「でも、お医者さんは死ぬ程嫌いでいらっしゃいます。ほとほと困ってこのお宅で仕事は続けられないかなーと思い始めた一週間前……CHMが現れたんです。」

お熊「CHM!」

CHM(チャリティー・ホームメーカーズ)は、おマリやお熊が所属するアラファト家政婦派遣協会に対立している新しい家政婦派遣会社です。


~~


やってきたのは例のハンチングから上下ともに黒の制服でCHMのロゴが入ったカバンを持った若い家政婦だった。

CHM員『ごめんくださーい』

マリア『CHM!』

CHM員『アラファトね。あなたに用は無いわ悪夢でお困りの玉木兵六様に会わせてちょうだい。』

マリア『ご主人様の悪夢のことをなぜ!』

CHM員『ブログで読んだのよ。』

マリア『ブログ!?ブログなんかやってるんですか?』

玉木『いかんか。夢について誰かいいアドバイスでもくれんかと書きこんでみたが世間は冷たいわい。なんの返事もない。』

CHM員『玉木さま、新しい家政婦派遣会社CHMは悩める皆さまのお味方でございます。私、大学で心理学を専攻しておりましたので、きっとお力になって差し上げられると存じます。』

マリア『(心理学の専門家!)』

玉木『医者ではないんじゃな』

CHM員『違います。心理学を心得てる家政婦です。』

玉木『それならよいさっそく相談に乗ってもらおう。』

マリア『うむむっ…。』

CHM員『先ごろアメリカの高名な心理学者パトリシア=ガーフィールド博士が夢について画期的な論文を発表しました。世界中に住む60億以上の人間が見る夢は国や地域、宗教や生活環境あるいは文化的背景のちがいなど関わらず。すべて12種類の夢に分類できることを発見したのです。』

玉木『12種類!?夢の種類なぞ無限にありそうな気がするが。』

マリア『(面白そうな話だわ。)』

CHM員『12種類に集約されます。たとえば高い所から落下する夢。大切にしているものを失う夢。怖い何かに追いかけられる夢などです。』

マリア『(へーえ)』

玉木『わしの夢はそれじゃ!得体の知れない恐ろしいモノに追いかけられるんじゃ!』

CHM員『やはり……くわしいお話をお聞かせください。』

マリア「ハッ!」

思わずライバルの話に聞き入ってしまったマリアでした。
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