ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

クラークの自白から数日後、宮殿の一室では三人が集まっていた。最初に報告を始めたのは警視だった。

グルメ警視「すべて白状しました。殿下の推理はビンゴでした。」

ベーコン「まさか本当に私のところに来るとはね。お預かりしたものはお返ししますよ。」

そういうと、先生は牧師の衣装にキャップと眼鏡につけ髭と変装セットをテーブルに並べた。

ミハイル「先生はエメラダで一番の精神科医です。かなりの確率で先生を尋ねると思っていました。」

ベーコン「しかし別の医者を選ぶ可能性もあった。」

ミハイル「ですから彼の自宅と診療所に盗聴器を仕掛けたんです。もし彼が別の意思を選んだ場合、その方に協力をお願いするつもりでした。」

グルメ警視「それにしても路上で呼び止め、あっという間に凶暴なTHISMANのイメージを植え付けた先生の瞬間催眠は、実におみごとでした。」

ベーコン「いやいや」

グルメ警視「そのイメージのため悪夢をみるようになった彼は、おそらく精神科医に頼るだろうと読み通り。」

ベーコン「私を訪ねてきたそれを利用して彼をさらにおどしつけた。つまりこのままでは夢の男に殺されるぞ、とね。そうなったら彼は薬に頼らざるを得ない。薬で精神状態が不安定になったころあいを見計らってわたしが電話をかけて…」

グルメ警視「途中ですり替わって私が不気味な声色でTHISMANが殺しに行くぞという暗示をあたえ。」

ミハイル「そして僕たちの計画通り、あまりの恐怖に耐えきれなくなっ彼は自白を決意したわけです。」

グルメ警視「もののみごとにうまくいきましたね。」

ベーコン「ハッハッ、いやまったくですな」

グルメ警視「しかし、ご承知の通りこのやり方は決して合法的ではありません。このことはくれぐれも我々だけの秘密ということで……」

ベーコン「もちろん」

ミハイル「わかっています。」

グルメ警視「……ベーコン先生」

ベーコン「なんですかな?」

グルメ警視「THISMANとはいったい何者なんでしょうか。」

ベーコン「さあねえ」

ミハイル「何者と言っていいのか。なんなのか……とりあえず、我々も悪夢を見ないようにしたいですね。」

ベーコン「本当に」

グルメ警視「まったくですな。」






あ・な・た・も・悪・夢・を・み・ま・せ・んよ・う・に……
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