ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

グルメ警視『専門が心理学と精神病理学精神科医だったんですよ。』

ミハイル「精神科医ならTHISMANのことを知らないはずがない!」

グルメ警視『そうです!さらに興味深い事実がありまして』

ミハイル「だからじらさんとサラッと言わんかいサラッと!」

グルメ警視『先生はオーエン氏のイトコでした。』

ミハイル「!!」

グルメ警視『お察しの通りです。オーエン氏が亡くなれば遺産の6分の1がクラーク先生のものになります。6分の1とはいえ莫大な金額です。』

ミハイル「警視!大急ぎで宮殿に来てください!」


~~


すぐにグルメ警視は宮殿へとやってきた。

チコ「殿下、警視がいらっしゃいました。」

グルメ警視「早速ですがこちらがクラーク先生の写真となります。」

写真には眼鏡をかけたしわの深い中高年がうつっている。

ミハイル「どうも。待ってる間に考えてみました。クラーク先生はTHISMANのことを知り、その夢の男を使ってお金を儲けることを思いついたのです。つまり、先生は精神科医だから催眠術が使えるのではないでしょうか何か理由をつけてオーエン氏に催眠術をかけTHISMANの似顔絵を見せながらこういったのです。」

『この男の顔をおぼえてください。睡眠薬でやっと眠ったあなたの夢のなかにこれから毎晩この男が現れ、あなたに対して恐ろしいことをします。怖い夢です。まさしく悪夢です。その悪夢から逃れるためには睡眠薬を大量に飲まなくてはなりません。3つ数えたら術から覚めます。私の言ったことは忘れますが暗示は残ります。悪夢を見て分量以上の睡眠薬を飲むのです。3.2.1』

パンッと殿下が手を叩いた。グルメ警視とチコはハッとする。

ミハイル「あとはただ結果を待てばよかった。自分の手を汚さず証拠も残りません。」

グルメ警視「私も殿下と同じようなことを考えていました。」

ミハイル「まさに頭脳犯罪認めたくないが完全犯罪と言ってもいいかもしれない。警視、やっかいな事件ですよ。」

グルメ警視「ええ…なにしろ、あるのは私たちの推理だけで物証はないのですから警察も何もできません。」

ミハイル「しかし正攻法は無理でも多少乱暴な手段を使えば……」

グルメ警視「というと……クラーク先生を捕まえて拷問でもしますか。」

チコ「そんなアホな。」

ミハイル「そんなことをしたら僕たちが捕まっちゃいますよ。違います。相手が頭脳犯罪ならこちらも頭脳で対抗するのです。つまりですね……」
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