ー日常ー街の住人達【9】

ー練馬:大林宅ー

マリア「下剤も互角ですね。なら、次は傷薬です。」

CHM員「どうやる」

マリア「簡単です。刃物で腕に傷をつけるんです。」

CHM員「えっ」

マリア「もちろん傷が治るまでには時間がかかります。だから、どっちの血が早く止まるか競おうじゃないですか。」

明らかに顔色が曇った様子でいった。

CHM員「いや……ぼくはその血を見るのが苦手なんだが…」

マリア「やらないなら私の不戦勝ですよ!」

CHM員「わかったやる!」

おマリは腕の袖をまくると二の腕にナイフを当てて斜め下に降ろした。それを追って赤い筋ができる。

マリア「つぅっ…」

その様子と傷を見てさっきよりも顔色をいっそう悪くしたまま男はナイフをとって、自分の二の腕に当てた。

少しだけ斜め下に降ろすと小さな傷だがパックリと皮膚が裂けて血が垂れだした。

CHM員「うわっ、うわわっ!血が流れた!早く薬を!」

同時に傷薬を塗りこむ。

マリア「あれ、塗ったとたん血が止まった気がする。」

CHM員「ええっ!?」

さらにティッシュペーパーで傷をぬぐうと……。

マリア「見なさい!傷もなおってる!」

CHM員「そんなバカな!」

マリア「どうです漢方の効き目は!」

おマリは男の腕を叩いた。とうぜん血もまだ止まっていなければ傷もふさがっていないのでダラダラと流れ始める。

CHM員「きゃーーー!大量出血!!」

そこまで大騒ぎするほどの傷でもないのだがパニックになったようだ。

大林「まぁまぁ、血止めをしないと……」

親切心でバンソーコーをもって駆け寄ってきたお婆さんだったが、足がもつれてしまってCHM員にしがみついた。左手は肩に、そして右手は傷口の側に……。

当然、押さえられたことによっていっそう勢いよく血が噴き出した。

CHM員「ひえぇぇーっ!医者ーーーっ!救急車---!死ぬーーー!」

大騒ぎするが傷口は小さいもの縫う必要もなくちょっと洗ってバンソーコーを貼ればどうとでもなるほどである。

マリア「私の勝ちですね。」

CHM員「そんなことどうでもいい!こんな物騒なところで働けるか!こっちから願い下げだぁー!!」

男は叫びながらものすごい勢いで外へと飛び出してしまった。


~~


マリア「ということで大林様に続けて働かせていただけることになったんです。」

おばさん「よかったわねぇ」

おばあさん「それにしても漢方の傷薬は凄い効き目ね。」

マリア「ところがギッチョン以前お熊さんと歩いてるときガマの油売りの大道芸を見たんです。刀で腕に傷をつけガマの油を塗ってふき取ると傷が消えていました。「スゴイですね」といったらお熊さんが」

お熊『ちがうのよ。アレはトリックよ。刀の裏に口紅を塗っておいて腕にこすりつければ赤い筋がついて傷に見える。ふき取れば消えるのは当然よ。江戸時代からあるパフォーマンスよ。』

マリア「それを応用したんです。」

おばさん「まぁ、イカサマでライバルを撃退したのね。」

おばちゃん「おマリちゃんもやるわね。」

マリア「CHMとの戦いに仁義は無用です。」
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