ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

チコ「けど、どうやったらそんなことができるんです?」

ミハイル「降ってくるんだから空の上の空間に、それこそ超サルガッソー海に人間の思考波に感応して食材をデリバリーする。なんらかのシステムあるいは装置が存在するに違いない!」

チコ「不自然です!」

ミハイル「不自然に思えてもこれがファフロッキーズ現象を完璧に説明できる理論は無い!」

チコ「現象は古代から続いてるんです!そんな昔に機械的なシステムが存在するはずがありません!」

ミハイル「未来から送りこまれてきたんだ!タイムマシンを開発したか利用できる立場の未来人がファフロッキーズ装置を古代に送りこみ、大昔からセコイ金儲けを続けているんだ!」

ムーン1「なんだか話が大ごとになってきた」

チコ「食材ではない金属球やコインの落下例はどうします?」

ミハイル「金属球は装置の部品。コインは回収した代金の一部がなんらかの手違いで落下したのだろう」

チコ「……理屈は通ってますね。」

ミハイル「話を要約すると!食材をそっとデリバリーするのではなく、空から降らせるのは、それを見たひと達がおどろく様子を想像して楽しむため!つまり張本人である未来人Xはひねくれたユーモア精神の持ち主でなおかつバツグンの科学力を持っていて!さらに魚なんかいくら売ってもたいした利益にならないから、大金に興味がなくセコイ小銭稼ぎが大好きな人物ということになる!」

チコ「セコくて、ひねくれて、科学力があって、小銭稼ぎが大好き……殿下じゃありませんか?」

ミハイル「……自分でもいいながら、僕みたいだなーと感じたんだ。マザーコンピューター、Xについてどう思う?」

MC【みはいる殿下ノゴ子孫デハ?】

「「「えっ?」」」

ムーン1「そうか、未来の殿下ならわけのわからない現象を作りだして手間暇かけて小銭を稼ごうとするのもうなずける!」

MC【ソウ考エレバ、本来同ジ場所デ続クコトノ少ナイコノ現象ガえめらだで続イタノモワカリマス。装置ヲツクッタゴ子孫ト思考回路ガ似テイルノデ、装置ガ殿下ノ思考二敏感二反応シタノデス。】

ミハイル「なんだと!それじゃ僕がちょっと思ったことにも敏感に反応して!たとえば餃子が食べたいと考えたら。」

殿下が、そう口に出した瞬間、窓の外では無数の餃子の雨が降り注ぎだした。ざっと見ただけでも百人前は余裕であろう。
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