ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ミハイル「で、原因は?」

チコ「竜巻説が有力です。落下してくるのは魚や蛙やワニといった水生生物が多いので海や川や湖で竜巻が起こり、魚などを巻き上げて遠く離れたところに落とすという説です。」

ミハイル「合理的だな」

チコ「難点もあります。落下物はワニならワニだけ、カエルならカエルだけ、魚も単一種類の場合が多いです。」

ミハイル「サンマならサンマだけが降ってくるわけか」

チコ「海で竜巻が起こったのなら、いろんな魚が含まれてるはずなのにそうはなっていません。」

ミハイル「不思議だな」

チコ「難点は他にもあります。落下する場所がものすごくピンポイントなんです。先ほど30センチほどのワニが降ったのはひとつの農場だけでした。」

ミハイル「そうか。竜巻ならもっと広範囲にばら撒かれるはずだな。」

チコ「さらにすごいピンポイントがあります。1979年イギリスのサザンプトンに住むムーディ夫妻の家に大豆とトウモロコシそれにインゲン豆が降ったのです。」

ミハイル「野菜も降るのか」

チコ「現象は翌日も続き今度はソラマメが降りました。」

ミハイル「飛行機に乗ったそそっかしい八百屋が落としたんじゃないのか」

チコ「ところがその現象が起きたのはムーディ家とその両隣のゲール家、ストックリー家の3軒だけだったのです。」

ミハイル「……飛行機からそんなにピンポイント落とすのは無理だな」

チコ「飛行機説はたしかにあります。飛行中に貨物室が開いて中の荷物をばらまいたとする説ですが、もちろん古代の事例はこれでは説明できません。」

ミハイル「うーん」

チコ「他にもイタズラ説、錯覚説、鳥原因説などあります。鳥の大群がくわえていた魚を落っことしたという物です。」

ミハイル「不自然だなぁ。」

チコ「ようするにすべてを説明する理論はなく、原因不明のまま、この不思議な現象は今日も世界のどこかで起こっているということです。」

ミハイル「世の中は不可解だ。としか言いようがない。何はともあれ魚が手に入った神様からのプレゼントだありがたくいただこう。」

「「「いただきまーす!」」」

ムーン1「久しぶりの魚のシチューだ。」

ムーン2「このところ食費の切り詰めでネコマンマしか食べてなかったからな」

ムーン3「おいしい、おいしい」

ミハイル「(減少ということは絶対に合理的に説明がつくはずだ。しかし、それはいったい……)」
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