ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

その日、ミハイルは自室で珍しく仕事をしています。

ミハイル「不景気だなぁ。不況になると宝飾品なんか、真っ先に買わなくなるからな世界的な買い控えは実に痛い。宮殿の食費を切り詰められないかな、ひとりひとりの食費は安いといってもムーンは常時200人以上いるわけだから……とはいっても、今でもギリギリのところに抑えてるからなぁ。これより食事の質を落としたら一揆でも起こされかねない。空から食べ物が降ってこないかなぁ。なんちゃって。」

すると一瞬、窓を何かが過った気がした。振り向いてみるが何も変わった様子はない。気のせいかと思って視線を戻そうとしたそのとき、大漁の魚が降ってきた。

窓を開けて下を見てみると生きた魚が跳ねまわっていて、ムーンたちも集まって驚いていた。


~~


料理係「降ってきた魚を料理したので食費が一食分浮きました。」

ミハイル「それはなにより。しかし魚が降るなんておかしな天気だ。」

チコ「殿下、わかりました。ファフロッキーズ現象です。」

ミハイル「ふぁふ…なに?」

チコ「ファフロッキーズフォールスフロムザムスカイの略です。以前日本で空からオタマジャクシが降ってきて騒ぎになったでしょう。あれと同じ現象です。」

ミハイル「ああ。名前がついてるとは知らなかったさぞかし珍しい現象何だろうな」

チコ「ところがぎっちょん。調べてみておどろいたんですが古代の昔から世界のあらゆる地域であらゆるモノが降ってるんです。」

ムーン1「ええっ?」

ムーン2「あらゆるモノって…」

チコ「普通、空から降ってくるはずのないのもです。魚や蛙は日常茶飯事で例えばアメリカの農場に30センチ大のワニが10分かんにわたって振り続けたとか」

「「「どひゃあ…」」」

チコ「インドで象ほどもある巨大な氷の塊が降ってきたLとかボールベアリングのような金属球や虫の幼虫、あるいはコインが大量に降ってきた例もあるそうです。」

ミハイル「なんと、そんなにいろんなモノが降ってるのか」

チコ「あまりにも多くの報告例があるのでどうしてもっと一般に知られてないのか不思議に思ったんですが」

ミハイル「ふむ」

チコ「突拍子がなさ過ぎて実際に見た人以外は信じない。だからニュースになりにくいんじゃないでしょうか」

ミハイル「そうだな。僕だって見ていなければ、空から魚が降ってくるなんて信じなかったろうな。」
18/100ページ
スキ