ー日常ー街の住人達【9】

ー派遣先:赤城宅ー

奥様「おマリさん、やっぱり肌寒いわ。エアコンをつけてちょうだい。」

マリア「奥さま、エアコンの電気代は馬鹿になりません。よーするに寒いときは首すじを温めればよろしいのです。失礼します。ふーー、ハーーーッ。」

生暖かい息を首筋に吹きかけだした。

奥様「ううっ…」

マリア「いかがです?あたたかいですか?ハーッハーッ」

奥様「あたたかいというか気持ち悪いというか」

CHM員「ぼくも手伝います。ハーハー!」

マリア「むっ、ハーーーッハーーーッ」

二人してハーハーッと息を吐き続ける。すると五分もしないうちに二人ともひっくり返りそうになった。

CHM員「か、過呼吸だ!」

マリア「これは身体に悪い……奥さま、こうしましょう。きっと夜もお寒いでしょうから、私がベッドの足元で横になります。お腹の上に足を乗せていただければ湯たんぽ代わりです。」

奥様「まあ、それは暖かそうね。」

CHM員「むっ、それでは奥さま!僕は添い寝して差し上げます。」

奥様「えっ」

CHM員「一晩中、抱きしめて差し上げますから暖かいですよ。」

奥様「ま、まぁ、家政夫さんそれはとても素敵なアイディアだわ」

CHM員「ケイイチロウと呼んでください」

奥様「素敵な名前ね」

まさかの色仕掛け!これは私にはまねできない!くそっ、一気に形勢逆転されてしまった!

なにかこちらも逆転の一手がないかと考えていると置きっぱなしになっているバックが目についた。

こっそりと移動してバックを調べてみると携帯が見つかった。

マリア「メールをチェックして……ふむ、内容からして、この人が彼の恋人だね。」

さっそく電話をかけた。

『もしもし?』

マリア「もしもし」

『ケイちゃんじゃないわねあなた誰!』

マリア「ケイイチロウさんは今夜、年上の女性とベッドを共にするそうですよ。」

『なんですって!?』

それだけ言って通話を切るとバックに携帯を戻した。すると、すぐに着信がはいる。おマリはさっとその場から離れた。

CHM員「本部からの連絡かなちょっと失礼します。もしもし…ああ、るり子。なんだい今仕事中なんだけど。……えっ、年上の女性とってなぜそれを……いや、違うんだ。仕事上の成り行きで形だけ添い寝することに……そうじゃないって!あくまでも仕事なんだってば!仕事でなけりゃ誰があんな汚いババアと!!」

奥様「……」

CHM員「ハッ!……これはこれはお美しい奥さま!」

奥様「でていけーー!」

CHM員「ごめんなさーーい!」

奥様「危うく騙されるところだったわ!やっぱりこれからもおマリさんにお願いするわ。」

マリア「ありがとうございます。一生懸命働かせていただきます。」

というわけで、アラファト対CHMの仁義なき抗争は始まったのでした。
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