ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:警察署ー

グルメ警視に呼び出され、シーツは案内された部屋へと入った。グルメがいるかと思いきや室内は真っ暗である。

シーツ「おや?グルメ警視?」

おかしいなと部屋の中を見渡していると、何かが淡く光った。そっちの方へと振り返ると……。

カーミラ『……』

シーツ「ひぃっ!?」

死んだはずのカーミラ女史が立っていた。

カーミラ『よくも……よくも!?』

シーツ「わ……!私が悪いんじゃない!お前が悪いんだ!学生時代告白したときその顔で、とかみんなの前でさんざんな、振られ方をした!どんなに傷ついたかわかるか!ゆうべ会ったときお前は気づかなかったが私はすぐに気が付いた!恨みを忘れたことはなかった!私を傷つけた罪は死に値するだから罰を与えたのだ!」

そこまで言ったところで部屋に明かりがついた。

ミハイル「警視聞いての通りです。」

シーツ「ああっ!ああああ!!」

ミハイル「最近のCGはすごいな。」

チコ「罪の意識がなければ壁にうつった映像に騙されることねなかったでしょうがね。」


~~


グルメ「白状しました。奴はピノキオ氏の手を女子の首にあてその上から力を加えて絞殺したのです。さらにオードブルにまぜたのは常用していた睡眠薬でした。何十年も前に振られた腹いせに殺人を犯す人間がいるとは……殿下、私が間違っていました。」

ミハイル「いやいや、名前の通り粘着質なやつでしたね。」

ピノキオ「殿下、ありがとうございます。おかげで助かりました。」

グルメ「殿下は最初からピノキオ氏が犯人ではないと決めつけておられたようですが……なぜ?」

ミハイル「彼が心優しい人物だと知っていたからです。」

ピノキオ「えっ?」

ミハイル「7年前のことを覚えてますかニャ」

ピノキオ「…………あの時の子供か!!」

チコ「どういうことですか?」

ピノキオ「10年前、気の合わない父とケンカして家を飛び出し世界を放浪しました。7年前エメラダに流れ着いたころには所持金もなく途方に暮れていたのです。そんな私の前に小さな子供がいました。3歳くらいの子供がうずまっていたのです。」

ミハイル「父上に叱られて家出した時だ。暗くなってくるしおなかはすくしでどうしようかと思っていたのだ。」


~~

『よお。どうしたい相棒』

ミハイル『ぼくはあなたのあいぼうじゃないですニャ』

『見知らぬおっさんに、よっ大将と呼びかけるのと同じだきにするな。最後の金で買った夕食だ。半分やる。』

ハンバーガーを半分分けてもらって、ミハイルは事の次第を話した。

『ふーんお父さんに叱られて……しかし相棒、親は子供のことを心配するから叱ってくれるんだ。関心がなけりゃ叱ることもない。お前さんのことを思えばこそだ。帰って素直に謝ってみろきっと許してくれる。』

ミハイル『そう…ですにゃ。わかりましニャ。かえりりますニャ。』

『それがいい』

ミハイル『あの…おなまえをきかせてほしいですニャ。』

『……ピノキオだ。ゼペット=ピノキオ』

ミハイル『……』

ピノキオ『ほらーみんなそういう顔をするんだ。だから名乗りたくないんだが正真正銘本名だ。』

ミハイル『そうですかニャ。それではぴのきおさんえんがあったらまたおあいしますニャ。』

ピノキオ『ああ、縁があったらな相棒。さてえらそうに説教をしてしまったが自分はどうなんだ。こんなことは考えもしなかったが、もしかしたらオヤジがあんなに口うるさかったのも俺のことを心配してくれているのかも…』

~~

ピノキオ「そう思ったら急に里心ついて国へ帰り、病床にあった父と初めて心の底から話し合うことができたのです。まもなく父は他界し、社長の座を継ぎましたが、あのとき殿下に合わなければ今頃どうなっていたことか」

ミハイル「人の縁とか運命はわからないものですね。とにかくお互いこれからも人生には大変なことがあるかもしれませんが」

ピノキオ「ええ、女史を失った悲しみを乗り越えるのは難しいでしょうが」

ミハイル「頑張って生きてみようじゃないか相棒」

ピノキオ「そうだな。相棒。」
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