ー日常ー街の住人達【9】

ー常春の国エメラダ:ミハイル宮殿ー

ムーン5「アメリカのチェルシー宝飾店をご存知ですか?」

ミハイル「名前は聞いたことがある小さいが信用のおける老舗のはずだ。」

ムーン5「そのチェルシーからエメラダのダイヤを扱いたいと打診があったのです。」

ミハイル「おお、それは何より!お得意が増えるのはいいことだ。さっそく担当者に商談に来るように伝えろ。」

ムーン5「おそらく社長のピノキオ氏がじきじきにいらっしゃると思います。」

チコ「ピノキオ?」

ムーン5「ゼペット=ピノキオ氏」

ミハイル「なに」

チコ「ゼペット=ピノキオですか!?」

ムーン1「いうにことかいてなんというふざけた名前だ!」

ムーン2「嘘の名前に決まってる。チェルシーからの商談と言うのも怪しい話だ!」

ムーン5「本名だ。」

「「「えっ?」」」

ムーン5「社長の名前を聞いた時、僕も信じられなくて調べたんだ間違いなく本名だ。」

ムーン1「へーえ」

チコ「世の中にはホント色んな名前の方がいますね……。」

ミハイル「では、その社長に来てもらえ。」

ムーン5「わかりました」

ミハイル「ピノキオ氏に会うのが楽しみだ。」

ムーン1「そうですね。」

チコ「どんな顔をしているかみたいですね。」

ムーン2「でも商売の話はやりやすいかもな」

ムーン1「どうして?」

ムーン2「嘘つくと鼻が伸びるから」

ムーン1「よせよ、気持ち悪い。」

3日後ピノキオ氏は秘書と最終便でエメラダに到着。商談は明日の正午からの予定……のはずだったのだが、正午を半分過ぎた時間になっても姿を現さなかった。

チコ「遅いですね。」

ムーン1「時間にルーズなのはビジネスマンとして如何なものかと」

ムーン2「殿下、エメラダ警察のグルメ警視からお電話です。」

ミハイル「うん?もしもし僕です。ええ、ええ、確かにチェルシー宝飾店のピノキオ社長と仕事のことで会う予定になってますが。」

『秘書の女性が殺害されました。今のところピノキオ氏が一番の容疑者です。』

商売相手が殺人の容疑者と聞いて、殿下は現場であるホテルへと向かった。すでに警察でごった返していたがミハイルは色んな意味で有名であり、探偵として何度も警察とは顔合わせもしていることもありすんなりと中へと入れた。

そしてロビーで殿下に一報を入れたグルメ刑部に詳しい事情を聞かせてもらった。
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